民主党は13日、2011年度の党大会を幕張メッセで開いた。連立を組む国民新党の亀井静香代表らの挨拶に続き、菅直人代表が登壇した。菅氏は「ユンケル」を5本以上飲んできたのだろうか。病的に高いテンションで演説した。内容も自画自賛の洪水で、これまた病的だった――
「子供手当てを導入したことは歴史的で画期的なことだった。農家の個別所得保証の予算を取り拡充したことは歴史的に見ても間違っていない」。首相は“歴史”という言葉が好きなようである。
よほど実績をアピールしたいのか。「●●に□□億円の予算をつけた」などと予算をつけた例を何件もあげた。
批判が多かった外交については、まず「尖閣列島は日本固有の領土・・・」と虚勢を張った。続いて出た言葉には我が耳を疑った。「日中、日露関係、韓国など東アジアの諸国との外交の多くは前進している」。菅氏の脳には現状を認識する細胞がないようである。
こんな調子で菅首相は20分間も絶叫したのだった。
続いて岡田克也幹事長が2012年の活動方針案を提案した。岡田幹事長の提案が終ったところで会場から怒号があがった。だが会場の幕張メッセはサッカー場のように広いため、何と叫んでいるのか、記者席からでは聞こえない。
立ち上がって発言を求めているのが森ゆうこ議員で、地方代表が「そうだ」と呼応していることだけは分かった。
議長役の武正公一議員は「党大会での質疑は先例がない」として森議員の質問を認めなかった。
大会終了後、森議員に聞いた。森議員は次のように発言を求めたという。「大増税路線を唱える与謝野さんを入閣させるとはどういうことだ。民主党が約束していた『国民が第一の政治』とは違うではないか。国民が第一なら国民のために戦わず、何で増税なんですか?」
森議員の抗議もむなしく党大会はシャンシャン大会で終わった。
執行部は内閣改造の前日に党大会を、前々日に両院議員総会を持ってきた。中間派でも、親小沢でも政務官や副大臣ポストは回ってくる。人事で黙らせようという狙いだ。
それでも両院議員総会では執行部批判が噴出し、党大会では怒号が飛び交った。愛知県知事、名古屋市長選挙は来月に、統一地方選挙は4月に迫っている。
執行部が消費税増税など困窮する国民生活を省みない政策をこのまま続ければ、選挙では壊滅的な敗北を喫するだろう。菅政権が国民の信を失い航行不能になることは目に見えている。生活弱者は波間に沈む恐れさえある。
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