12日、憲政記念館で開かれた民主党の両院議員総会は、菅政権の混迷をそのまま映し出した。冒頭挨拶に立った菅直人代表はいきなり大ボケをかましたのである。「民主党政権の1年半は大きく見て間違いはなかった・・・」。
間違いがなかったら、どうして参院選挙、地方選挙で惨敗が続くのだろうか。常識に照らし合わせれば明らかにズレているのだが、菅代表は本気でそう思っているようだ。
質疑が始まると横粂勝仁衆院議員がいきなりアッパーカットを入れた。「総理しっかりして下さい。円高、財政難、少子高齢化などの難問山積の中、民主党の内紛を国民は冷めた目で見ている(中略)国民のための政権交代であって一部の人の政権交代ではなかった」。
頼りなさがトレードマークの横粂議員にまでコキ降ろされ、菅代表は苦虫を噛み潰したような顔になった。隣席の岡田幹事長は薄ら笑いを浮かべるばかりだった。岡田氏の内心が覗いた瞬間だった。“横粂はちゃんと見とるわい。菅は指摘の通りアホだ”
質問に立った議員は口々に「このままでは4月の統一地方選挙は戦えない」と悲痛な叫びをあげた。
「大臣をただ辞めさせないで欲しい。現場の苦労が分かっているのでしょうか。与党幹事長が自ら政局を作り出さないで欲しい」―こう訴えたのは橋本清仁・衆院議員だ。内閣改造で目先を変えようとする執行部を批判したのである。
渦中の人、小沢一郎元代表も出席した。小沢氏がこの種の会合に顔を出すのは異例だ。松木謙公、岡島一正氏ら側近議員に回りを囲まれて座った。小沢氏は終始目を閉じたままだった。時折、鼻や頬に手をやるとカメラのフラッシュが激しくたかれた。
1時間40分にわたる両院議員総会は執行部批判の嵐となった。それでも菅代表や岡田幹事長からは具体的な政策や方針は何も出なかった。
岡田幹事長が「菅総理の下に結束することが、民主党が一枚岩になっていると国民に示すことになる」と言えば、菅代表は小沢氏の政治とカネを絶叫するばかりだ。そこには政権政党の面影さえも見られなかった。
総会終了後、川内博史・衆院議員は「(執行部は)民主党が置かれた厳しい現実に対する認識が全くない。ガス抜きどころかガスが充満した」と吐き捨てた。
議員の多くは統治能力を失った執行部に悲鳴をあげ反発を強める。こんな政権政党に生活を任せる国民はたまったものではない。
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