特定秘密保護法は憲法第21条が定めた「表現の自由」に違反するとして、フリーランス・ジャーナリストら43人が法律の執行停止などを求めた裁判。
きょう、第4回目の口頭弁論が東京地裁の103号大法廷で開かれた。原告団は「フリージャーナリストが報道機関とは みなされない おそれがある」と弁論した―
特定秘密保護法22条2項では「出版・報道に携わる者の取材の自由を保証」している。ここで言う取材とは「法令違反または著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」と規定されている。
参院本会議(2013年11月27日)で森まさこ・特定秘密保護法担当大臣(当時)は「フリーのジャーナリストもこれに含まれる」と答弁した。
だが実態はそうではない・・・
原告でフリー映画製作者の早川由美子氏はUR団地の問題を取材するために、出勤途上のUR理事長に直撃取材を試みたことがあった。
しかし理事長がUR本社のエレベーターホールに入ったところで、警備員に取材を止められた。それでも食い下がれば「著しく不当な取材」とみなされる恐れがあった。
そもそも国土交通省詰めの記者クラブ員であれば、エレベーターホールで警備員に止められたりはしない。こちらは正当な取材となる。
原告でフリージャーナリストの山岡俊介氏は、東日本大震災後の東電福島第一原発の事故現場を取材するために無許可で潜入取材をしたことがある。建造物侵入罪に問われかねなかった。
記者クラブ員であれば、総理公邸に潜り込んだところで、建造物侵入罪に問われるようなことはない。
ゲリラ的な取材を試みることが多いフリージャーナリストにとって、特定秘密保護法は手足を しばる 法律なのだ。
103号大法廷は一杯になり、定員の約100席がほぼ埋まった。
荒川区在住の元教員(60代・女性)は、この裁判をきょう初めて傍聴した。
「一般国民までは、まだ秘密保護法の影響は来ていないが、きょうの陳述を聞いてフリージャーナリストには影響が来ているのだと感じた」。女性は驚いた表情で語った。