欧米にそそのかされて親露派の前大統領を追い出したウクライナで、政変後初の総選挙が26日、実施される。
欧米にとって最大の関心事は、ポロシェンコ大統領がリーダーを務める「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」が、過半数(定数450議席)を取るか、だ。
地元メディアの情報などを総合すると、226議席を取るものと見られている。単独過半数を取れば、ポロシェンコ陣営から全閣僚が出る。法案も思いのままだ。
ウクライナ政府は欧米の意のままとなる、と言い換えることもできる。
親露派のヤヌコビッチ大統領を追放したマイダン(革命広場)の戦いの際、富豪のポロシェンコ氏は「市民戦士」に巨額のカネを提供していた。米国と一緒に。
ポロシェンコ大統領の豪邸(写真)はワシントンのホワイトハウスを模した、と言われる。米国に忠誠を示すためだろうか。豪邸は現在建設中だ。
用地取得をめぐるスキャンダルで建設は一時中断されていたが、6月の大統領就任後、再開された。
ウクライナ中央選挙管理委員会によると、投票は親露派勢力が支配するドネツク州やルハンスク州をのぞく全土で実施される。
選挙の結果、欧米の傀儡政府が完成すれば、ロシアとの軍事緊張が高まるのは必至だ。
親露派勢力の頭目である“ドネツク共和国”のアレクサンダー・ザハルチェンコ首相は23日、「ウクライナとの停戦を破棄する」と宣言した。
プーチン大統領とポロシェンコ大統領の間で結ばれていた形ばかりの停戦合意さえもなくなるのだ。
いったい誰のための選挙なのだろうか?
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読者の皆様。ウクライナ情勢をめぐっては、日本をはじめとする西側メディアからは実相が伝えられていません。米露が角逐し、世界の動きに大きな影響を与えるウクライナ情勢を欧米偏重で捉えてよいはずがありません。田中が東欧のはずれまで足を伸ばした理由です。何卒ご了承下さい。