澱んで腐臭を放ちながら没落していく国。権力者の不正を許さず経済成長を遂げていく国。対馬海峡を挟んだ両国の違いは何か・・・
広瀬めぐみ前衆院議員が秘書給与400万円を詐取したにもかかわらず在宅起訴で済まされた。
この前にはパーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかった自民党国会議員数10人が不起訴となった。れっきとした脱税なのだが、3千万円以下であればセーフという “判例” を、東京地検が作ってしまったのである。
一方、最高権力者の犯罪であっても許さないのが韓国だ。朴クネ大統領が退陣(後に逮捕)に追い込まれた崔スンシル・ゲートを思い出す。2016~17年にかけての事件だ。
事件は朴大統領が友人の崔スンシルの娘の大学入学で便宜を計らった見返りにサムソン財閥から巨額のワイロを受け取ったものだ。典型的な贈収賄である。
田中は朴退陣を求める嵐が吹き荒れるソウルで取材を続けた。
市民の怒りは凄まじかった。100万人からの市民が大通りに座り込み、朴退陣を要求し続けた。「子供に生きた歴史を見せたい」と言って子連れで参加する夫婦もいた。
地方からは農民がトラクターで駆け付けた。
市民の怒りは青瓦台(大統領府)べったりの新聞テレビにも向かった。「(最大手紙の)朝鮮日報は共犯者ではないのか」というプロテストソングが人気を博し、集会ではおなじみの曲となった。
2017年3月31日、韓国検察は朴クネ前大統領を収賄や権力乱用の疑いで逮捕した。
日本では夢物語のような話である。権力者は何をしても許されるのであれば、私腹を肥やすために公金を使う。あるいは支持者に便宜を計る。
これでは経済が成長するはずがない。マスコミが権力に忖度せずに事実を伝え、市民が怒らない限り、日本は沈み続ける。
~終わり~
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