【パレスチナ備忘録】Xmasに思う キリスト生誕地という牢獄

パレスチナ住民は我が家に戻るのに牢獄の入口のような施設を通過しなければならない。=昨年12月、西岸ベツレヘム 撮影:田中龍作=

 イエスキリストが生まれたとされる聖誕教会がある西岸ベツレヘム。イスラエルが首都と主張するエルサレムに隣接していることもあり、警戒は厳重だ。

 パレスチナ住民は出入りするにも堅牢な回転扉を潜らなければならない。扉の開け閉めはイスラエル軍が管理する。自分たちの土地に住んでいるのに出入りの権利をイスラエル軍に握られているのだ。

 パレスチナ住民が居住するベツレヘムは、高さ5m以上はあろうかという壁で囲い込まれており、牢獄と変わるところはない。

パレスチナ住民はイスラエルから壁で囲い込まれて暮らす。=昨年12月、西岸ベツレヘム 撮影:田中龍作=

 ベツレヘムの真っ只中にある聖誕教会は、キリスト教徒の聖地でありながらユダヤ教徒とイスラム教徒の紛争に巻き込まれてきた。

 2002年にはイスラエル軍に追い詰められたイスラム武装勢力が約1ヵ月にわたり籠城する事件が起きた。両者は激しい銃撃戦を展開した。

 イスラエル軍は教会周辺に戦車を配置し事態打開の構えを見せた。砲撃で武装勢力を木っ端微塵に吹き飛ばそうというのだ。

聖誕教会のクリスマス・デコレーション。=昨年12月、西岸ベツレヘム 撮影:田中龍作=

 だが教会も粉砕される。バチカンがイスラエル政府に攻撃を中止するよう求めたほどだ。

 EUの仲介で亡命先が見つかり、武装勢力は投降した。もし亡命先が見つからなければイスラエル軍が聖誕教会を本格攻撃し、世界遺産は無残な姿をさらすことになっただろう。

 ~終わり~

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