【ガザ境界発】 病院爆撃は誰の仕業か 当局発表を垂れ流す前に

イスラエル南部の住宅地に着弾したハマス(あるいはイスラム聖戦)のロケット。=2009年、アシュケロンの警察で 撮影:田中龍作=

 「死者500人を出したガザの病院爆破はイスラエルの責任ではない」と米情報当局が発表した・・・と各国のメディアが報じた。

 米情報当局は、発射に失敗したイスラム聖戦(ハマスの兄弟分)のロケット弾が病院に墜ちた、としている。

 情報当局は傍受したイスラム聖戦の交信を根拠にあげる。「発射に失敗した」という内容だ。

 笑止である。情報当局がかりに傍受の音声を公開したとしても、イスラム聖戦に実在する人物なのか証明は不可能だ。

 傍受の音声を捏造することなんて朝メシ前である。

 イスラム聖戦の仕業なのか、イスラエル軍なのか。田中はどちらとも断定しない。

ハマス(あるいはイスラム聖戦)のロケットが着弾したイスラエル南部の小学校。さて病院を爆破できるほどの破壊力だろうか。判断は読者におまかせする。=2009年、アシュケロン 撮影:田中龍作=

 ただし、物証が得られれば極めて有力な判断材料となる。

 ハマス(あるいは兄弟分のイスラム聖戦)のロケット弾は、建設資材を流用した粗末な材質だ。田中はこの目で確認した(写真参照)。ガザで発射現場に迷い込んだこともある。

 現場に“ブリキの破片”が落ちていればイスラム聖戦の誤射である。そうでなければイスラム聖戦の仕業とは言えなくなる。

 国連の調査団はもちろんのこと、各国のジャーナリストを入域させるべきだ。それも現場検証開始の時点から。

 そうすれば国際社会を覆うモヤモヤは晴れる。

 ※
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