区議選に立候補している甲党の乙候補の街宣を取材するために朝から出かけた。乙候補のツイッターを見ると「朝8時にA駅」とある。
7時30分頃、A駅に着くと自民党候補の陣営が肉声で声掛けとチラシ配布をしていた。(マイクが使えるのは午前8時以降である)
A駅は私鉄と都営地下鉄が合流する。出勤する有権者が改札口に向けて川のように流れ込んでいた。
候補者は一人でも多くの有権者に顔を覚えてもらいたい一心だ。利用者の多い駅前は奪い合いとなる。
乙候補に連絡を入れると「場所をB駅に代えた」との返信があった。
田中はB駅に向かった。駅に着いてみると北口は自民党が、南口は公明党が押さえていた。
場所取りは早いもの勝ちなのである。運動員の数がものをいう。組織がものを言うのである。自民党候補は後援会が、公明党は学会員が動く。
甲党は乙候補の選挙区に組織と呼べるほどのものを持たない。場所取りなんて夢のまた夢だ。
公選法の精神である公平の原則なんて絵に描いた餅なのである。実際のところ選挙は公平ではないのだ。
乙候補はB駅脇に追いやられて細々と演説せざるを得なかった。ノボリやマイクも一人で運んだ。
ツイッターなどのSNSをフルに使ってアピールする方法もあるが、本人がナマで演説する方が訴求力がある。
組織力はなくとも立派な政策を持った候補者もいる。細々とした演説にも耳を傾けたい。地元に密着する区議会の選挙である。
~終わり~