【ウクライナ発】ジャーナリスト39人が死亡

カラシニコフを肩に掛け『PRESS』を背中に付けているのはプレスオフィサー。将校である。メディアを簡単にコントロールできないことは百も承知だ。=5日、ドネツク 撮影:田中龍作=

 
 ウクライナ戦争を取材中に死亡したジャーナリストの数は39人にのぼる(9月16日現在、アレクサンダー・トゥカチェンコ文化大臣発表)。

 2月24日の開戦から9カ月間で、この数字が多いのか少ないのか。評価は困難である。

 3月13日、激戦地イルピンで米国人記者が撃たれて死亡してから、一気にジャーリストへの規制が厳しくなった。13日以前はフロントライン(前線)でも記者証を見せれば入れた。

 弾がピュンピュン飛び、砲撃が耳をつんざくようなフロントラインでも行けたのである。

 厳しい規制は今なお続いている。取材できるフロントラインは、ウクライナ軍が奪還した地域に限る。しかも軍の許可が要る。

 抜け駆けすれば、軍のアクレデ(取材許可証)は没収となる。

 ただしBBCとCNNは別格である。上の規制はあてはまらない。ウクライナ軍のスポンサー国を代表するメディアだからである。

 BBCはセキュリティー会社のガードマンを付けている。フロントラインに行く時の取材車は防弾ガラス付きのランドクルーザーである。安全対策に怠りがない。

ロシア軍に支配されていた地域から負傷者を運び出す。この頃まで規制らしきものはなかった。=3月、イルピン 撮影:田中龍作=

 ジャーナリストを前線に行かせないもう一つの理由に、部隊の居場所を知られることへの警戒がある。田中は激戦地取材で「画像の公開は撮影後48時間以上経ってから」と制約を課せられたことがある。

 規制がかかる3月13日以前のような状態が続いていたら、ジャーナリストの死者は早い時期に100人を超えていただろう。

 ジャーナリストが入ることで戦争の実相が明らかになる。

 ウクライナの実情を、そしてロシアの実態を知らずして「即時停戦」を唱える向きがある。耳触りのよいプロパガンダは戦争の解決を遅らせるだけだ。

 虐殺と破壊を止めるには、実相を世界に明らかにする他ない。

 規制があることでジャーナリストの死にブレーキがかかる。だが、最前線の実情は闇に閉ざされる。

    ~終わり~

  ◇
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核搭載が可能なロシア軍の戦略爆撃機がカスピ海上空からミサイルを発射しました。

ベラルーシの事実上の参戦により、戦争は振り出しに戻る可能性があります。

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