31日投票の衆院選で、維新の大躍進が予想される。少なく見積もるメディアでも現有の10議席から2倍増の20議席。3倍増以上の30数議席と読む社も珍しくない。
大躍進説の背景を東京12区(北区全域、板橋区の一部、足立区の一部)で取材した。3区とも都内有数の生活保護利用率である。言葉狩りを恐れずに言えば、東京の貧困を集めたような地域だ。
同区は前回2017年の衆院選では公明と共産(政党の構成要件を満たした党のみ。諸派のぞく)だけだったが、今回の衆院選で維新が初登場となった。
阿部司候補(維新公認・39歳)が立ち、岡本みつなり候補(公明党公認、自民党推薦)、池内さおり(共産党公認、野党統一)と三つ巴の戦いを繰り広げている。
阿部候補の街宣には動員なしで老若男女が足を運び、耳を傾ける。街宣はネットや口伝てで知ったという。
維新を支持する理由を聴衆に聞いた。
彼らは異口同音に「これまでの政治を変えてもらいたい」と語った。洩れなく語ったと言っても過言ではない。
すでに期日前投票で維新に投票したという女性(60代)は「私と旦那と息子2人、娘2人、友人で計7票入れた」と自慢する。「ずーっと公明党に入れてきたが、娘(22歳)が『仏壇や掛け軸を買うのが嫌』と言うようになったのが、公明党から離れるようになったきっかけ」。ふっ切れた表情で話す。
ベビーカーに子供を乗せた若い母親も経済的な理由で公明支持を止めた。「寄付などのしがらみが嫌になった」と理由を語った。「維新は実績があるから」。母親は納得の表情で街宣会場を後にした。
一人で演説に耳を傾けていた60代の女性は余韻を噛み締めるように語った。「自民党とくっ付いている公明党は大嫌い。一時は共産党に入れていたが、共産党に何かしてほしいとは思わなかった。自然と共産党支持を止めた。そこに維新が現れた。今は維新ひと筋」
26日、応援演説に入った吉村洋文・大阪府知事が語る「行政のムダを省いて福祉や教育に回す」「改革なくして成長なし」に、低所得者はシンパシーを感じる。
公明は自民と一体化し、福祉を蔑ろにするようになった。共産は立憲に引きずられて底辺の人々の期待を裏切った。庶民が望んでいるのは「消費税は5%」なんぞではない。「消費税ゼロ」なのだ。
庶民感覚を失った公明と共産が、有権者を維新に走らせた。
~終わり~