バス会社が運転手に対して、不祥事をもみ消すことを条件に、労働組合からの脱退を強要したのは不当労働行為にあたる、と東京都労働委員会が認定した。運転手はじめ労働組合員が1日、厚労省で記者会見をして明らかにした。認定は19日付。
申立人はJRバス関東の運転手、佐藤友宏氏(38歳)。
被申立人はJRバス関東株式会社の代表取締役。
東京都労働委員会の命令書などによると―
佐藤運転手は2018年11月11日と12日、JRバス白河支店近くの喫茶店に支店長から呼び出され、労働組合(JR東労組)からの脱退を強要された。支店長は「脱退すれば不祥事をもみ消してやる」という条件で唆そうとしてきた。
佐藤運転手はバス回送中に喫煙し携帯通話をしていた。会社側はドライブレコーダーで監視していたのである。
佐藤運転手は「やったことはやったこととして処分を受けます」と答え、脱退を拒否した。
支店長による脱退強要はヤクザ言葉のような荒っぽい口調だった。音声が録音されていて有力な証拠となった。
佐藤運転手はストレスで体調を崩し2020年2月から今年9月5日まで休職した。9月6日に職場復帰となったが、運転手ではなく、整備助手だった。整備士の免許を持っていないためだ。
佐藤氏は入社して15年間ドライバー一筋だった。「運転手として復帰したい」と話す。
その道のベテランを違う道の助手に回す。人事は会社側の専権事項とはいえ、労働者の人間性を奪うに等しい所業だ。
~終わり~