工事もズサンだったが、被害住民に対する説明もズサンだった—
東京都調布市の大深度地下を走る外環道トンネルルート上で住宅地や生活道路が陥没した問題で、NEXCO東日本は、きょう、地元の小学校で住民説明会を開いた。
説明会に出席できる住民は、NEXCOからの招待状が届いた100世帯に限られた。
ある主婦が血相を変えて「ウチは音もするし振動もするのに何故、説明会に出席できないの?」とNEXCOの社員に食い下がる場面もあった。加害者が被害の線引きをしたのである。
説明会はメディアをシャットアウトしたばかりではなかった。付近を走るトラックの運転手たちが「私も道路利用者なので説明を受けたい」と申し入れた。
運転手たちが「入れさせてくれ」と粘ると、NEXCOは警察を呼んで排除した。
説明会場は公共施設の小学校である。運転手側に道路陥没の説明会に出席する権利はあるが、NEXCO側に彼らを排除する権利はない。
出席した住民たちによると、NEXCOは型どおりの謝罪をすると、HPにすでに書いていることを説明した。
補償については「誠意ある対応をさせて頂く」と述べるにとどまった。フンワリしていて明確でなかった。国会答弁のようだった。
来年4月から移り住む予定だった夫婦もいる。家はすでに建っており支払いも済ませているが、家の勝手口を開けるとすぐ目の前はボーリング調査の現場だ。
住民から「工事は見合わせないのか?」との問いにNEXCOは「調査中なので明確なことは言えない」とかわした。
妻は「安全であることが分かるまで工事を進めないでほしい」と話す。
夫は「納得した人はいないんじゃないのかな。皆、首を傾げていたんじゃないのかな」と語った。
次はリニア、工事差し止め訴訟へ
今回の事故で、シールド工法による大深度地下トンネル工事が、地上の建物や道路に被害を及ぼすことが明らかになった。環境に多大な負荷を及ぼすことも否めない。
リニア新幹線に与える影響も大きい。JR東海は来年度から、シールド工法で大深度地下トンネルを掘る工事に着手すると見られている。
トンネルの上にあたる大田区、世田谷区などの住民は、来年春にも「大深度地下トンネルの工事差し止め訴訟」を起こす予定だ。
~終わり~
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