都内在住の自営業者F氏が官邸前できょう29日、パンケーキ店を開いた。
前日からツイッターで告知していたこともあり、F氏の到着前から私服刑事たちが現場を遠巻きにし注視した。
田中は麻雀の「黒川杯」を思い出した。黒川杯は、東京高検の黒川弘務検事長の賭け麻雀が写真付きで週刊誌にスクープされたにもかかわらず、罪に問われなかったことを当てつけた麻雀大会だ。
有志が、検察庁前で麻雀をしようとしたが、強烈な圧力で日比谷公園に移動させられた。検察庁前で強行していたら、十中八九、逮捕されていただろう。
パンケーキは賭け麻雀のような犯罪ではないから心配ない・・・なんてタカをくくってはいけない。じゅうぶん「スガ不敬罪」にあたる。権力側にしてみれば警戒に値する案件なのだ。
F氏はホットケーキミックスに牛乳、卵を混ぜてフライパンで焼いた。フライパンに溶かしたバターの香りが鼻孔をくすぐった。
「この匂いでスガ・ヨシヒデを誘い出す」。F氏は意気込み充分だ。風よ。バターの香りを官邸の中まで運んでおくれ。そう思わずにはいられなかった。
無料のパンケーキは飛ぶように はけて いった。
F氏が中継するツイキャスには、菅野完のハンストを見守ってきたリスナーの書き込みがあふれた。
「太っ腹ですね。ケチい政府とは大違い」。
「ここで首相が来るようなシャレた奴なら、こんな事はされないだろう」。
F氏が焼けたパンケーキをひっくり返すと、「政権がひっくり返るという暗示か?」。
「この動画によってここで過酷なハンストがあったという事実が知れ渡るのか。意義深いなあ」。
ハンストからパンストへ。パンケーキおじさんを揶揄する試みは、緩やかな空気で官邸前を包んだ。
2時間もすると東京消防庁が来た。警察が通報したのか、通りがかりの人が通報したのか。
消防庁の職員は「火が周りに燃え移らないように」などと注意すると、写真を撮って引き揚げて行った。
夜が更けてもパンケーキの香りは辺りに漂っていた。
~終わり~