小池ゆり子氏の虚飾に満ちた半生を描いた『女帝』の著者さえも言葉を失うような嘘と裏切りがあった。それも巨大利権が絡む築地の移転問題で。
「(築地の移転問題は)いったん立ち止まって、みんなが納得する結論を出したい」。小池氏は前回の都知事選挙(2016年7月)でこう訴えて、都民の注目を集めた。
消費者の多くは、環境基準を大幅に上回る汚染土壌の豊洲に移転することに不安を抱いていた。
食の安全と古き良き東京の文化を守る・・・ポーズではあったが、そんな姿勢が有権者に支持され、小池氏は290万票を獲得、2位以下を大きく引き離して華々しい初当選を遂げた。
翌年(2017年)の5月だった。魚河岸水神社の本社である神田明神の祭りに小池知事はハッピ姿で現れた。
築地女将さん会の山口タイ代表を前に知事は、指でOKマークを作って自らの胸を叩き「大丈夫よ、守るからね」と豪語した。
それから1ヵ月後の2017年6月、「築地は守る、豊洲は活かす」。姿勢を玉虫色に変えたのである。選挙からちょうど1年が経っていた。
その後は なし崩し だった。豊洲への移転は進み、魚河岸の代名詞でもあった築地は、見るも無残な更地となった。
小池知事と真逆で築地移転に反対を貫いてきたのが、宇都宮けんじ候補予定者だ。
きょう14日、新宿アルタ前であった宇都宮氏の街頭演説には「築地女将さん会」のメンバーが応援に入った。
前出の山口タイ代表(屋号:樋徳)はマイクを握り訴えた―
「小池さんが都知事になった時は期待していたが、裏切られた。小池さんを頼って小池さんに期待してきたが、4年間何をやってくれたんだろうと疑問に思うことで一杯です」
同じく女将さん会の鈴木三千代さん(屋号:鈴房)は「小池さんはいざとなったら何もしてくれなかった」と悔み、「絶対今回は宇都宮さんに都政を守って頂きたい」と強調した。
別のメンバーは「宇都宮さんは女将さん会の勉強会でも面倒を見てくれた」と明かす。
「東卸(東京魚市場卸協同組合)」の元理事は、2012年、初めて都知事選に立った宇都宮氏が築地を視察に訪れた時のことを振り返って語る―
「宇都宮さんは私たちがレクチャーしようとしたことをすべて知っていた。この人はここまで勉強しているのかと舌を巻いた」。
デベロッパーたちは、銀座に隣接する広大(23㌶:東京ドーム約5個分)な築地市場跡地の再開発を虎視眈々と狙う。
前出の元理事によれば、闇に葬られた移転反対派もいる。「巨悪に立ち向かえるのは宇都宮さんしかいない」。元理事は太鼓判を押す。
都民を欺いて巨大利権への道を開いた小池知事と魚河岸を守ろうとした宇都宮氏。
小池氏を信じて手ひどい裏切りを受けた人々が、祈るような思いで宇都宮氏の選挙を支える。
~終わり~
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