衆院千葉4区(船橋市)では、「原発を止めるのか、再稼働するのか」「消費税を上げるのか、上げさせないのか」を真っ向から問う選挙戦が展開されている。消費税増税と原発推進政策に反対し民主党を離党した三宅雪子候補(未来の党)が、張本人の野田佳彦候補(首相)を脅かしているのだ。
現職の首相が選挙区と比例で重複立候補するという無様な事態となっていることが何よりの証左である。自分は逃げ道をしっかり確保しておきながら、部下には「火の玉になって戦え」とムチをあげるのが、残念ながらこの国のリーダーだ。
きょうは嘉田由紀子・未来の党代表が千葉4区に入り、船橋駅前で応援演説をした。「京都府知事と一緒に(原発の)再稼働に反対したが、野田首相は再稼働させた。大飯原発の下には活断層が走っている。どうして安全が担保できるでしょうか?(中略)千葉県にもホットスポットがたくさんある」。
道行く有権者が次々に立ち止まり演説に耳を傾けた。民・自・公のように労働組合、業界、宗教団体の動員はない。買い物帰りの主婦が目につく。
子供(2歳半)を抱いた母親の姿もあった。夫の転勤で関西から千葉に引っ越してきた、という。
「(未来の党が掲げる)子育て支援よりも脱原発政策を支持している。安心して暮らしたい。NHKと新聞だけを見ていると『大したことない』と報道しているが、ネットで見ると千葉は関西よりも驚くほど線量が高い。『脱原発』を大きな声で言える政党に伸びてほしい」。母親は未来の党に期待を寄せた。
三宅候補は野田首相の失政を追及した。「(国民の)命を脅かしたのが野田総理です…(中略)マニフェストに書いていることはやらずに、書いていないことは命がけ。消費税に夢中になっている間に復興予算に白アリがたかってしまった。国民を裏切った野田総理を許せない」。
「野田はウソつきだ」「野田は詐欺師だ」…会場からヤジが飛んだ。
「千葉4区の有権者を裏切った人を国会に送ってはいけないんです」。三宅候補が声を絞って訴えると拍手が起きた。
マスコミの世論調査では「投票先をまだ決めていない」という有権者の割合が最も多い。「自民党に政権を戻したくない」「民主党には二度と政権を担当させたくない」、かといって「弱者切り捨ての維新もまっぴらだ」。このように願う有権者の動向が、選挙後の政権の枠組みを左右する。