“倒閣運動が本格化した”と書けないところがもどかしい。地域主権を目指す政策集団「東京維新の会」が24日、発足した。民主党国会議員10人をはじめ都内の現職地方議員、立候補予定者の51人からなる大集団だが・・・
同日夕方、憲政記念館でお披露目の記者会見があり、平山泰朗議員(東京13区)が会の設立趣意書を高らかに読み上げた。「議員定数や歳費の見直し、行政の効率化や人件費の削減など市民が当たり前に思っていることを当たり前に実現していく・・・」。キモは09年総選挙のマニフェストに戻ることだ。
「東京維新の会」は、菅政権の増税路線や、一向に進まない議員定数の削減、公務員給与の削減を生活者本位の方向に修正しようというのだ。ごもっともである。だが飛び出した本音は、“予想通り”期待を裏切るものだった。
会の中心人物である中山義活・経産政務官は「民主党の中で改革を目指す」とした。
「選挙で大労組(自治労・官公労)にどっぷりお世話になってきた民主党の中にいて経費削減が実現できる訳がないではないか?」と筆者は質した。
中山政務官は「諦めてはいけない。任期は4年間ある」と精神論で答えた。
「(維新の会が唱えることとは逆を行く)政府提出の予算案に反対すべきではないのか?」とも追及したが、「予算案は通す」ときっぱり答えた。
これでは菅政権を追い詰めることになりはしない。「再来月に迫った統一地方選挙、いつあってもおかしくない解散総選挙に向けたパフォーマンスではないか」(これも言わせてもらった)。
分かりやすく言うと彼らは様子見なのである。ジャーナリストの上杉隆氏が「各地の『維新の会』と連携する予定はあるのか?」と質問すると、中山政務官は「大きな広がりを作り出してゆきたい」と答えた。
予算関連法案が否決されても菅首相が居座り続け、民主党が二進も三進も行かなくなった時、彼等は初めて旗幟を鮮明にする。受け皿は原口一博・前総務相が近く旗揚げする「日本維新の会」と見られる。タイミングと菅政権の崩壊状況を見計らっているところだ。
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