事実上の首相選びとなる民主党の代表選挙は、9月14日に投開票が行われることになった。菅直人代表(首相)が続投に意欲を示しており、閣僚の間からも菅氏を推す声が挙がっているようだ。
小沢グループがよほどイイ玉を担がない限り、菅氏が再選されることになる。参院選挙の結果が示したように国民は菅政権に「ノー」を突きつけたにもかかわらず、である。
菅首相の「消費税発言」は本人が言うように不用意だったのではない。あの発言で明らかになったのは、民主党とりわけ菅政権が国民生活を本位に考えていなかった、ということだ。それが本性だったのである。馬脚を現したとも言える。
働いても働いても年収が124万円以下のワーキングプアが厚労省の推計で641万人もいる(07年)。それ以外の勤労世帯でも所得は下がる一方だ。消費税を上げたら生活はさらに苦しくなる。購買力は一層低下し景気はもっと冷え込む。
「どうしても消費税が必要というのなら、国会議員の定数を削減し、公務員の給与総額を減らしてからだ。国民に増税をお願いする前にもっとやることがあるでしょう」。こう主張したみんなの党は大躍進した。有権者もそう判断したのである。
消費税発言はことほどさように致命傷だった。有権者の信頼を失い、野党からも小馬鹿にされる菅首相が、他に有力候補がいないという理由で再選されるのは日本の政治にとって不幸である。
政界に影響力のある某メディアのプロデューサーによれば、原口一博総務相が出馬に意欲を見せており、このメディアににじり寄っている、という。「様子見しながら勝てると踏んだら代表選に立候補するつもりだ」。永田町に地獄耳を持つ知人はこう解説する。
「巧言令色すくなし仁」という。原口氏はそれを地でいく人間だ。その場その場できれいなことを言う。「あれっ、こないだの記者会見で言ってたことと逆だぞ」というケースがしばしばある。
野党ではあるが、自民党の谷垣総裁の方が識見、人格ともに菅、原口両氏より上だ。自民党政権に戻れという訳ではない。個人的な力量としては民主党のお二人より優れているという意味だ。
世界のどこに出しても恥ずかしくないリーダーが登場するまで解散総選挙を繰り返すしかないのだろうか。
連日の猛暑を尻目に民主党の寒い夏が続く。
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