【ガザ点描】イスラエル軍の砲弾より恐い汚れた水

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東地中海のイメージに似合わぬ海水の汚れにもガザの現実がある(ガザ市内の港湾で。写真:筆者撮影)

 ガザは下水処理施設が十分でないため汚水がそのまま海に流れ込む。排水が流れ込む港の水は黄緑色に濁っており見るからに汚い。

 上水道の水質も良くない。ガザの水源は地中に蓄えられた帯水である。ガザの人口は、女性がイスラム特有の多産であるため右肩上がりに増え続ける。イスラエルが第3次中東戦争(1967年)でエジプトから奪取した頃は100万人にはるか及ばなかったのが、現在では160万人に膨れ上がっている。ガザにあって人口増大は水質を悪化させることにつながる。次のような理由だ――

 人口の増大に伴い水の消費も増える→地中の帯水は不足気味となる→水圧が下がり海水が地中に浸透する→帯水に塩分が混じる→水道の蛇口から出てくる水をなめると塩っぱい。

 海水が排水で汚染されていることは冒頭述べたが、これがガザの水源である帯水に浸透してくるため環境への被害は深刻だ。

 2003~4年頃まではガザにもイスラエルの入植地があり、大規模農園が大量の帯水を汲み上げていた。これも海水を浸透させる原因になった。

 WHO(世界保健機構)の調査によると、ガザの上水の80%が飲み水に適していない。驚くべき数字だ。汚染され塩分を含んだ水を日常的に飲んでいるためだろうか、ガザでは腎臓を病んでいる人が多いと聞く。

 追い討ちを掛けているのが電力不足だ。停電でポンプを使えない時間が長いため、ビルはタンクに大量の水を蓄えておくのだが、気温が高く水は淀む。シャワーを浴びるとベトベトする。かゆみを覚えることさえある。

 汚れた水はジワジワとしかも確実にガザの人々の健康を蝕んでいくだろう。長い目で見ればイスラエル軍の砲弾よりも恐い気もする。
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 田中は25日、日本に帰国致しました。停電することなく電気が来、きれいな水でシャワーを浴びることの有難さをかみ締めています。大手メディアが報じないガザの現状を一行でも多く伝えれることができればと思い、現地で取材・執筆に励んでまいりました。
 今回の取材行では節約に節約を重ねましたが、予想以上に経費がかかりました。東京から持ち込んだ練り状みそ汁とパンで食費を浮かせるように務めましたが焼け石に水でした。カードローンの返済地獄が待ち受けております。皆様の支援を賜れば幸甚です。

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