前回の衆院選では比例名簿1位で担ぎ出した猪口邦子氏が出馬断念に追い込まれる事態となっても「人生いろいろ、総裁もいろいろ」とうそぶいた小泉元首相。同じくチルドレンで苦境に立たされている佐藤ゆかり候補(東京5区)の決起集会では「茶飲み話」に終始した。
ゆかり候補の選挙区は東京・世田谷と目黒にまたがる高級住宅街だ。地方や弱者の間では批難轟々の「小泉改革」も、ここでの評判はさほど悪くない。富裕層が多いからだろう。決起集会の会場(私立学校の体育館)で有権者に聞いた――
「ここじゃ全然批判されないね。だって豊かな人が多いもの」(50代・男性)。「改革はやるべきだった」(40代・男性)。「小泉さんはスパッと言うからいい」(60代・女性)。「小泉改革はやり過ぎ」(70代・男性)。
批判的なコメントは極めて少なかった。「小泉さんが来るから行こう」と誘い合っ来た有権者も少なくない。
他地区ではめったに見られない「追い風」を受けて小泉元首相は颯爽と演壇にのぼったのだが……。
「佐藤栄作さんの息子さんが(ゆかり候補の)後援会長を務めるなんて凄いですね。私は学生時代、別邸にお邪魔したことがあるんですよ」。元首相は昔話から始めた。
ちょうど4年前、自らの手で行った解散総選挙で「郵政改革は殺されてもやる!」と宣言した人物とは全く別人ではないかと思うほどだった。声に張りはなく話にも全く迫力がない。隠居ジジイの茶飲み話である。
当時「改革の本丸」とまで言われた郵政改革については、正当性を主張した。「かんぽの宿は官僚が天下り先にするため建てたんですよ。私はそれを改革しようとしたんですよ。でもそのことは誰も言わない」。
ゆかり候補の応援にやっと話が及んだと思ったら、枕は強烈なスカシだった。「自民党が野党になっても負けても、佐藤ゆかりさんは国会議員として大事な人」「自民党が野党になってもかまわない。しかし佐藤ゆかりさんには当選してもらわなければならない」。
『自民党をぶっ壊す』と言ってた小泉さんの口から「自民党が野党になっても…」という言葉が出ても別段驚きはしない。だが候補者や支持者にとってはとんでもない話だ。党が負ければ比例復活の可能性は低くなるからだ。
ゆかり陣営の運動員は「小泉さんの話は一週間前に6区の越智(隆雄)さんの集会で話したのと95%同じですよ」と顔をしかめた。
小泉さんは子供たちの面倒を見ることなくサッサと政界を引退してしまった。チルドレン83人のうち生き残るのは、わずか5~6人というのが大方の予想だ。無慈悲でいい加減な親を持つ子供たちが哀れなのは何処の世界も同じだ。
派遣法を改悪して労働者を使い捨てできるようにした小泉さんは、政治家をも使い捨てにした。
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