環境基準を大幅に上回る土壌汚染がありながら、東京都が強行しようとしている築地市場の豊洲への移転に反対するデモが27日行われた(主催=マグロの仲卸業者などで作る「市場を考える会」)。30度を超す炎天下、市場関係者はじめ消費者団体、環境団体など約1千人が築地市場から銀座・常盤橋までを歩き「移転反対」をアピールした。
中国産のギョウザや鰻などによる健康被害が相次ぐなか「食の安全」確保は、押しも押されぬ政治問題となっている。07年の都知事選挙で石原陣営は築地移転問題をあえて避け、参院選では移転反対を訴えた民主党候補が当選している。
来月3日に告示される東京都議選を前に「市場を考える会」は立候補予定者207人にアンケート調査した。回答した117人のうち移転反対は87人、賛成は29人(1人白紙)。反対が賛成の3倍近くを占めたが、自民党の多くは無回答だった。石原知事与党としては「移転反対」とは口が裂けてもいえない。かといって「賛成」などと言おうものなら有権者の反発を浴びる。
解散・総選挙も都議選とさほど変わらないほど間近に迫っていることからデモには野党の現職国会議員や立候補予定者の姿も多く見られた。
野党のある立候補予定者は「民主党の鳩山代表は『法改正して豊洲の汚染土壌に市場を移転できないようにする』ときっぱり言っている」と声を大にした。
有害物質により汚染された土地の使用を規制する「土壌汚染対策法」には、抜け穴の「附則3条」が設けられている。これは法律施行前(2003年)に廃止された土地には同法を適用しないというものだ。新市場に予定されている豊洲の東京ガス跡地がこれにあたる。
「附則3条」が政策的な意図で加えられたことは、国会でも明らかにされている(07年4月10日、衆院環境委員会)。鳩山代表が言う法改正とは、政治が企んだ抜け穴である「附則3条」の廃止だ。
国民支持率の低さで東京オリンピックの誘致はほぼ絶望的だ。東京都は「築地市場の跡地はメディアセンターに」と計画していたが、それも潰えることになる。「はじめに移転ありき」も政権交代で見直されそうだ。