中国人民解放軍・駐香港基地の外観を撮影していたら、制服警察官2人がすっ飛んできた。「Your nationality?」と詰問が始まった。
香港外國記者會(FCCHK)で発給してもらったプレスカードを見せたところ、警察官は「オージャパニーズ」。田中は事なきを得、その場を離れた。
中東、旧東側諸国、内戦下の国で軍事施設にカメラを向けることはタブーだ。香港も中国と言えば中国だ。
だが、一国二制度で表現の自由、報道の自由が保証されることになっている。実際、これまで人民解放軍・駐香港基地を撮影しまくっても、お咎めはなかった。少なくとも「反送中※」デモ最中の6月までは。(※送中=政治犯を中国に引き渡すことを可能にする条例。中国側は「犯人引き渡し条例」と呼ぶ)
人民解放軍・駐香港基地は、林鄭行政長官オフィス、政府本部庁舎、立法院の並びにある。それぞれは50mくらいしか離れていない。
6月に「反送中」デモ取材で訪れた頃と比べると、この界隈がピリピリとした雰囲気になっていることに気付く。
デモ隊やカトリック教徒が占拠していた立法院は立ち入り厳禁となっていた。
政府庁舎の鉄柵に所狭しと貼られていた政府批判の貼り紙は、一枚残らずなくなっている。
壁にはスプレーで政府批判の文言が吹き付けられていたが、警察官たちが文言の一つ一つを調査、記録していた。私服刑事は文言をスマホのカメラで一枚一枚撮影していた。
書いた犯人を割り出して逮捕するのだろうか。
私服刑事が最も入念にチェックしていた文言は「If you want peace prepare for war」。
「war」がどれ位のレベルを意味しているのかは不明だが、香港では「革命」という言葉が、最近頻繁に登場するようになった。
道路の分離帯にスプレーで吹き付けられていたり、デモ集会で配布されるチラシに書かれていたりだ。香港空港の到着ロビーでも「時代革命」の貼り紙が迎えてくれた。
少なくとも6月の時点で「革命」という言葉を見聞きすることはなかった。
8月以降、民主化を求める活動家たちが追いつめられていることは確かだ。
返還後50年間、保証されていた香港の自治は、習近平国家主席が指一本動かせばいとも簡単に潰される。次々と仲間が逮捕されていくのが、何よりの証明だ。
中国支配を免れるためには「革命」あるいは「War」しかないと考えても不思議はない。
~終わり~
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警察から撃たれて失明することも逮捕されることもいとわない・・・思想信条の自由を守るために懸命に戦う若者たちを取材するために香港まで足を延ばしました。
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