「国家の崩壊」加計認可 痛々しい林文科相の記者会見

忸怩たる思いだったのだろう。林大臣は悔しさを噛み締めるような表情で記者会見室を後にした。=10日、文科省 撮影:筆者=

忸怩たる思いだったのだろう。林大臣は悔しさを噛み締めるような表情で記者会見室を後にした。=10日、文科省 撮影:筆者=

 林芳正文科相は、きょうの定例記者会見で、大学設置審が加計学園・今治獣医学部の設置を可とする答申をしたことを発表した。

 林大臣は「答申を尊重して速やかに(手続きを)進めて行きたい」とした。スケジュール感について記者クラブ幹事社から聞かれると「学生の募集をはじめ大学側の受け入れに大きな影響を与えないようにしたい」と答えた。

 来週早々(13~14日)にも認可を公表するものと見られる。

 記者会見では、黒を白と言い含める国会答弁が再現された。記者から質問が飛ぶと随行の事務方たちは必死の形相で資料をめくり、大臣にメモを差し出した。

 大臣はメモを棒読みした―「4項目を満たしているかを確認したものではなく4項目を踏まえて進められた加計学園の構想と適合しているか、どうかを確認している。したがって本年1月までの国家戦略特区のプロセスが覆るものではない」

 一見意味が通っているようで、頭が腸ねん転を起こしそうなくらい意味が分からない。東大法、ハーバード卒の林大臣は、今ごろ強烈な頭痛に見舞われているのではないだろうか。

素早い動作でメモを差し出す若手官僚。この光景が幾度も繰り返された。=10日、文科省 撮影:筆者=

素早い動作でメモを差し出す若手官僚。この光景が幾度も繰り返された。=10日、文科省 撮影:筆者=

 記者クラブ以外では田中が指名されたので質問した。

 「大学の理事長が開学の精神を地元に説明できないような大学を認可する・・・これは文科大臣として歴史に汚点を残すことになりはしないか?」と。

 大臣は「理事長やその関係者の方々が説明しておられないということは私としては確認できておりません」として、あくまでも審議会の答申を尊重する姿勢を崩さなかった。

 「今治市教育委員会の許可を取らずに野間馬が実習用に使われようとしている。文科行政が蔑ろにされたことにはなりはしないでしょうか?」とも質問した。

 大臣は「(事実を)承知していないので、確認が取れればしっかり対応していきたい」とかわした。

 官僚も安倍暴政の犠牲者だが、文科大臣も痛々しかった。福田康夫元首相が「国家の破滅に近づいている」と言ったが、その言葉をまさに実感させる「加計認可答申」の記者会見だった。

眉間に縦じわを寄せ資料を探す大学設置室の役人たち。ピリピリしていた。=10日、文科省 撮影:筆者=

眉間に縦じわを寄せ資料を探す大学設置室の役人たち。ピリピリしていた。=10日、文科省 撮影:筆者=

   ~終わり~

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