「まず候補が出たことが奇跡。市民の力が組織の力を超えて当選する事ができた、これも奇跡だと思います」。
米山隆一候補に当選確実が出ると「新潟に新しいリーダーを誕生させる市民の会」の佐々木寛代表が喜びの弁を述べた。
米山が立候補を決意したのが告示の6日前。民進党を離党に追い込まれたのが2日前だった。
告示を翌日に控えた9月28日早朝。米山が民進党の支援を取り付けようと党本部を訪問するという情報が流れた。
田中ほか「新潟日報」など2社が民進党本部前で来訪を待ち構えたが、午前9時を回っても米山の姿はなかった。「ツイッターで新潟5区公認内定取り消しの決定を知った」というのだ。
米山は「(民進党本部に)伺うと恋々としているとの誤解を生みかねませんので予定を取り消させて頂きます」とツイッターに書き込んだ。
米山は「一無所属候補として、支援してくださる仲間たちと全力で戦い抜く」と退路を断った。
これが効を奏した。民進カラーがなくなったことで、かえって再稼働反対の旗が立てやすくなったのだ。
米山の選挙を支えた「市民の会」共同代表の磯貝潤子は、福島からの避難者だ。米山陣営のボランティアには原発避難者が少なからずいる。
午後9時02分、米山に「当確」が出ると、選挙スタッフたちと抱き合って喜んだ。原発事故の悲惨さを知る彼女のような人物が選挙の中心にいたことで、切迫した危機感が新潟県民に伝わったのではないだろうか。
原発避難者が新潟県に多いのは、泉田知事が「福島事故の検証無くして再稼働の議論はありえない」と強固な姿勢を貫いていたからだ。
森民夫が勝っていたら原発避難者らは支援を断たれ、帰還を余儀なくされることになっていただろう。
米山新知事の“生みの親”ともいうべき森ゆうこ選対本部長が力を込めた。
「この戦いの意味、『原発再稼働をぜったい許さない』。その県民の意思が示されたと思います。まさに歴史に残る戦い。この新潟から原発に頼らない社会を作って行きましょう」。
~終わり~