憲法は果たしてこの国の最高法規なのか? 立憲主義を知らない安倍首相の下、数の力でいとも簡単に憲法が事実上変えられていく―
憲法記念日のきょう、護憲派と改憲派が全国各地で運動を展開した。
若者が若者の「憲法観」を問うアンケート調査が東京、大阪、京都など6都市で行われた。(主催:若者憲法集会実行委員会)
アンケートのキモは憲法改正だ。『田中龍作ジャーナル』では、渋谷ハチ公前でアンケートの回答を終えた若者に話を聞いた。
「憲法改正に反対」と答えた若者は次のような理由を挙げた―
「いくら日本が米国と親密といっても平和国家を守らなければならない。アジア諸国との関係を大事にすべき。(改憲の動きがあるのは)過去の反省が活かされていない」。(高校1年生・女子)
「島(尖閣列島)とかよりも人の心や命の方が大事」(高校1年生・男子)
「憲法改正に賛成」と答えた若者は以下のような理由を挙げた―
「時代に合わせて変えていくべき」(大学1年・男子)
「占領下に作られた憲法だから」(大学1年・男子)
2人とも「憲法9条についてどう思うか」という質問には「分からない」と答えた。
憲法改正に賛成、反対を問わず若者たちは、第9条の改正については「反対」あるいは9条そのものが「分からない」と回答した。
改憲派は「公開憲法フォーラム」を全国35会場で開いた。(共催:民間憲法臨調/美しい日本の憲法を作る国民の会)
フォーラムは今年で17回目となるが、去年の26会場から9会場も増えた。安倍自民に代表される改憲派の勢いを物語っている。今回のタイトルは「憲法改正、待ったなし!」だ。
東京会場は1966年まで自民党本部が置かれていた砂防会館だ。憲法改正は自民党の半世紀以上にわたる党是である。
主催者のあいさつに続いて衆議院憲法審査会幹事の古屋圭司・元国家公安委員長が登壇した。
「今国会の中でも(改憲の)議論ができる環境が整いつつある…(中略)全力で国民をけん引したい。いずれ(憲法改正を問う)国民投票を実施し、絶対過半数を取る」。
古屋氏がぶち上げると万雷の拍手が鳴り響いた。安倍官邸がマスコミをほぼ完ぺきにコントロールしていることを考えれば、国民を洗脳し過半数を取るのは夢ではない。
改憲派は勝利を重ねる選挙の勢いをそのまま、「憲法改正」に持ち込むつもりだ。
だが、アメリカが日本の憲法改正を許さないのではないかとの見方もある。自らが押し付けた憲法を否定されたくないからだ。
過去のどの政権にも増して対米追従外交を展開する安倍首相。仕上げの段階になってアメリカからハシゴを外されるようなことにでもなれば、これほどの皮肉はない。
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