またひとつ日本の後進性が世界に発信された。東京都議会でチンピラ男性議員から女性蔑視のヤジを浴びせられた塩村あやか都議(みんなの党)がきょう、日本外国特派員協会で記者会見した。塩村都議は「再発防止を」「これを最後に」と繰り返した。
塩村都議は“事件”が起きた18日の都議会本会議を振り返った―
「出産、育児など悩める女性を東京都がどのようにサポートしていくかを質問していた」
「まさか というような不意打ちで悲しかった」「残念だけど女性蔑視としか思えない発言(ヤジ)に(議場から)笑い声が起こった。それが一番悲しかった。不妊などで相談しに来てくれた人の顔が浮かび、再び悲しい気持ちになった」。
塩村都議は都議会の吉野利明議長(自民党)に女性蔑視のヤジを飛ばした議員の処分を求めたが、議長は「議員が特定されていない」などとして、処分要求書の受け取りさえ拒否した。
東京都議会規則第112条によれば「懲罰事犯が発生した日から3日以内に提出しなければならない」とある。
問題のヤジが飛んだのが18日。自民党都連の吉原修幹事長が鈴木章浩都議の名前を明らかにしたのは23日だ。
3日はどっぷりと過ぎている。都議会自民党は“時効”が成立すると読んでいたのだろう。議長と都議会自民党がグルでウヤムヤにしようとしている意図が見える。
インディペンデントメディアの日本人記者が質問した。「議会に自らを律する力がない。名誉毀損など法的な対応は検討していないのか?」
塩村都議は「法的な対応は本当の最終手段」としたうえで「目的は再発防止。(産めないのか、とヤジを飛ばした議員は)早く名乗り出てもらいたい」と答えた。
米国人記者が「彼(鈴木章浩都議)を許すか?」と聞くと、塩村都議はしばらく首をかしげて「難しいですね。複雑な気持ちというのが本音。勇気は受け止めたい」と話した。
塩村都議によれば、不妊に悩む女性たちから「絶対に許してほしくない」「追及してほしい」という声が寄せられているという。
AP通信の女性記者が政界の女性差別について聞いた。
塩村議員の答えが事態を言い当てていた。「女性議員は少ないし、働きにくいといっても否定できない。男性のスタンダードで進んでいる。それで今回の事件が起きてしまった」。
問題の発言を塩村都議がツイートしたところリツイートが3万3千件にも達した。海外メディアはそれを受けて報道した。
知人のフランス人記者は「ソーシャルメディアの発達がなければ、問題はここまで大きくならなかった」と語った。政界とマスコミの体質を的確に表している。