都知事選挙戦最終日のきょう、東京地方は観測史上まれにみる大雪に見舞われた。脱原発を掲げる宇都宮けんじ、細川護熙の両候補は猛吹雪のなか有権者に支持を訴えた。
2人とも17日前、第一声をあげた新宿を「マイク納め」の場所に選んだ。
先に新宿東口アルタ前に着いたのは宇都宮陣営だ。選挙ボランティアたちが雪かきをして聴衆の足場を確保した。
「1%のための都政から、99%のための都政への転換。安倍政権の暴走にストップをかけ、平和憲法を守る。首都東京に平和憲法の旗を高く掲げたい」
「柏崎刈羽の再稼動に断固反対、廃炉を提案する。自然エネルギーに全力を挙げて取り組む。脱原発は脱被曝と共に進める。福島の被害者と向きあって被害者の生活再建に努力する」。
貧困対策に取り組んだ宇都宮氏らしく格差問題から話し始め、再稼働反対に続けた。
この後、宇都宮陣営は西口に移動した。
積雪のため電車の運休が相次ぐ最悪のコンディションとなっても細川人気は変わらなかった。宇都宮陣営と入れ替わるやいなやアルタ前は身動きできないほどの聴衆で埋め尽くされた。
「今の政府のやることは、戦前に逆戻りする感じがする。原発を基幹的エネルギーにするという。原発再稼動を目論んでいる。福島では苦しんでいる人が沢山居る。家を失った人、垂れ流し、いつ収束するかわからない。今のおかしな政府のやり方に物申さなければ、死んでも死に切れない」
「過去の産業と言われる原発に頼って日本は斜陽の道をたどるのか、それとも自然エネルギーで成長の道を選ぶのか。歴史の新しい一ページを開こう」。
細川氏は最後の最後まで脱原発の哲学を説いた。
脱原発陣営は分裂したまま明日の投票日を迎えることになった。有権者はどう捉えているのだろうか。話を聞いた。
「分裂した結果、舛添候補を勝たせれば日本の政治はよくならない。がっかりした」(千葉県在住・60代女性)
「まずいよ。状況としては一本化すれば勝てるのに」(都内在住・65歳男性)
―以上、数寄屋橋で
「つらい。3.11から一緒に声を上げていたのに、たもとを分かって選挙を戦うことになった。降りろ、降りないは愚かだ。勝てなきゃ終わりというのは違和感がある」(都内在住30代女性・商店経営)
「原発問題を巡っては、原水禁と原水協でそもそもが割れていた。候補者の統一自体が民主的じゃない」(都内在住40代男性・CGデザイナー)
―以上、新宿アルタ前で
宇都宮候補67歳、細川候補76歳。17日間に渡る選挙戦の最終日は猛吹雪の中の死闘となった。二人ともマスコミが避ける原発問題を最後まで訴えた。
凍結した地面の寒さが伝わってきて足元の神経がなくなるほどだった。それでも聴衆は身じろぎひとつせず、最後まで両候補の演説に聴き入った。「けんじコール」「細川コール」が新宿アルタ前広場に こだま した。