9日付けの朝日新聞に「休刊続々、もがく書き手~月刊誌失い『ノンフィクションの危機』~」と題する特集記事があった。
「ノンフィクションの氷河期」と叫ばれ始めて10年以上が経つが、著名月刊誌が生きながらえていたので、ライターは何とか足場を確保できていた。だが『論座』と『月刊現代』が昨年、『諸君』が今月を最後に休刊(事実上の廃刊)した。この先も休刊する月刊誌はまだまだ出てくるだろう。
景気低迷による広告収入の激減とインターネットの普及という“負の相乗効果”が主な原因だ。
ある老舗出版社の編集者がグチをこぼしていた。「コスト削減のため取材ルポがない→面白くない→売り上げ部数が減る→さらに取材経費を削る→面白くない→売り上げ部数がさらに減る。もう悪循環だよ」。
ジャーナリストの魚住昭氏は「もう時間と金のかかる取材はできない」(朝日記事)と嘆息しているがその通りだろう。
週刊誌はゴシップ・スキャンダルに偏りがちで、紙幅も限られている。長行のルポやノンフィクションを掲載できる雑誌は月刊誌しかない。筆者もある月刊誌にはお世話になった。その雑誌も先ごろ書店から姿を消した。
世に埋もれた問題を明るみに引きずり出すには、長行のルポやノンフィクションが格好の表現方法だ。月刊誌が青息吐息では、ジャーナリズムも精彩を欠く。書き手の痛手はもっと大きい。
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