【レバノン発】貧困層は脱出できずイスラエル軍に殺される

レバノン南部から逃れてきた一家。=5日、ベイルート海岸エリア 撮影:田中龍作=

イスラエルの侵攻が始まって1ヵ月余り。レバノンでは100万人を超す避難民が発生している(UNHCRまとめ)。国民の5人に1人が避難民というありさまだ。

イスラエル建国(1948年)に伴うパレスチナのディアスポラ(大災厄)をはるかに凌ぐ。

富裕層はホテルや借家で暮らす。多くは学校の体育館や空き教室で不自由な生活を続ける。不幸にもテントで雨露をしのぐ人々も膨大な数いる。学校とテントを分ける特段の理由はない。

初期はテントさえもない家族がいたが、それは改善されたようだ。

食事に毎日ありつける訳ではない。NGOと市民の善意が頼りだ。=5日、ベイルート海岸エリア 撮影:田中龍作=

避難民のテントが集中するベイルートの海岸を取材した。

バツールさん(妻・仮名)一家は家族5人でモーターバイクに乗り、イスラエル国境沿いのマイス・アル・ジャバーブ村から1ヵ月前に脱出してきた。イスラエル軍の爆撃開始1日前のことだった。

タテ・ヨコそれぞれ約4mのテントには鉄骨が入っていた。雨漏りで悩まされたので夫が「改良工事」をしてくれた。

食事は友人が届けてくれる。食べたり食べなかったりの日々だ。

「(故郷の)家は破壊されたので帰れない」。バツールさんは淡々とした表情で語った。南部地域はイスラエルの侵攻が当たり前になっていることを示す。戦乱慣れとはいえ悲劇である。

女の子の虚ろな目がテント生活の苦しさを物語る。=5日、ベイルート海岸エリア 撮影:田中龍作=

アブドラさん(仮名)一家は16人の大家族だ。3張のテントに分かれて横になる。小さなテントはタテ・ヨコ1m余り。ここに6人が折り重なるようにして寝る。

33日前にレバノン南部の代表的な都市スールからワゴン型の自家用車とモーターバイクに乗って逃れてきた。脱出の日を正確に覚えていることに驚く。

NGOが食事を届けてくれる。もちろん毎日ではない。前出バツールさん同様、食べたり、食べなかったりだ。

寄付してくれる人もいる。ひと月10~15ドルくらい入る。それでパンを買う。

スールにはまだ留まっている人々もいると聞く。アブドラさんに「どんな人が残っているのか?」と尋ねた。

「金もない。モーターバイクも車もない人たちがスールに残ってるよ」。アブドラさんからは予想通りの答えが返ってきた。

「羊や牛がいる人(農家)も離れられないんだ」と加えた。家畜は家族同様だからだろうが、田中は話を聞いていて胸が痛んだ。

愛犬も連れて南部から避難してきた。=5日、ベイルート海岸エリア 撮影:田中龍作=

「戦争は終わらない」「イスラエルはみんな殺すんだよ」。アブドラさんは顔色ひとつ変えず言い放った。

インタビューをしている最中、上空をイスラエルの戦闘爆撃機が轟音を立てて旋回する。アブドラさんは空を見上げながら「イスラエル」「イスラエル」と憎しげに繰り返した。

1時間もしないうちにベイルート郊外への猛爆撃が始まった。その数8カ所。
先月12日には同じ海岸にイスラエルが空爆をかけ避難民7人以上が殺害されている。

逃れてもイスラエルは死神のようにどこまでも追い掛けてくるのだ。

 ~終わり~

    ◇
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