
国が貧しくなると排外主義が蔓延(はびこ)る。高市政権が進めようとする外国人政策の厳格化はこれを煽る。行き着く所まで行くとナチスドイツとなる。=9月、財務省前 撮影:田中龍作=
安倍政治の継承を目指す高市首相がさっそく本領を発揮した。
4日、在留外国人に対する施策の厳格化を検討するよう指示したのである。
指示を受けた上野厚労大臣は記者会見で次のように語った―
国民健康保険料の未納付防止については、外国の方の納付状況を出入国在留管理庁と共有して在留審査時に活用する仕組みについて、令和9年6月からの開始に向けて準備を進めているところです。(厚労省HPより)
要約すると―
国保の保険料を払っていない在留外国人は国外退去処分の対象になりますよ、ということだ。

入廷する原告団。メディアは『田中龍作ジャーナル』だけだった。生活保護バッシングに血道をあげたマスコミは一社も来なかった。=2016年5月、東京地裁前 撮影:田中龍作=
安倍自民党が生活保護予算の1割削減を訴えて政権に復帰した2012年末の総選挙を思い出す。
年が明け安倍政権が本格始動するとマスコミは政府のリークを受けて生活保護叩きに勤しんだ。「不正受給が横行している」という報道が目立った。とりわけテレビのワイドショーは酷かった。
不正受給ではなかったお笑い芸人が血祭りにあげられた。「面白ければいい」のテレビ局と自民党の一体化がもたらした悲劇だった。

外国人政策の厳格化はレイシストを増長させる。日本文化を象徴する歌舞伎の京都南座前でヘイトが吹き荒れた。=2013年11月、京都 撮影:田中龍作=
高市首相は自民党総裁選の公約で「在留外国人施策」の厳格化を訴えた。自民支持層、高市支持層には「ジャパンファースト」が多い。
外国人施策について高市政権は「前倒しもある」としている。維新も一応野党の国民民主も同調しており、国会内では大きな障害もない。
高市首相は政治信条をかけて本気でやって来るだろう。ヘイトが勢いづけばナチスドイツさえ連想させるような国になる。
~終わり~
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