
自民党に灯る赤信号。=3日、永田町 撮影:田中龍作=
総裁選で選挙違反が脚光を浴びている。いかにも自民党らしい。公職選挙法が適用されないので「選挙違反」という言葉がふさわしいのか、判然としないが。
若い頃、取材した事件でこんな選挙違反があった―
運動員が有権者から投票所の入場券を買収するのである。有権者にカネを与えてA候補に投票するよう依頼しても、必ずA候補と書いてくれる保証はないからだ。
選挙は小遣い稼ぎといわれるような地域だった。有権者はA候補から1万円をもらい、B候補からは1万5千円をもらうのだ。高額な方に投票すると言われた。それとて必ず書いてくれる訳ではない。
そこでA陣営の運動員が投票所に行ってA候補の名前を書くようになった。
だが投票所の立会人が「こんな人、ウチの町にはおらん」と気づき、警察に通報。事件が発覚した。逮捕者の数は失念したが、大がかりな選挙違反だったことはしっかりと覚えている。いつまで続くんだ?というくらい逮捕者が出た。
「替え玉投票」は効かないということが分かり、次に登場した手口は―
地元の有権者本人を買収して投票に行かせるのだが、投票所で投票用紙にA候補と書いたら、それを写メで送らせるのである。
選挙違反と警察の取り締まりはイタチごっこだ。手口そのものも数えきれない。

お粗末な不正選挙が発覚した自民党総裁選。=9月24日、秋葉原 撮影:田中龍作=
進次郎候補のお膝下、自民党神奈川県連で大量の高市支持者を離党させていた事件は、究極の選挙違反と言える。ライバル候補に「投票そのもの」をさせないのだから。
離党させられた側が弁護士まで入れて抗議した結果、離党は解除され投票用紙が送られてきたようだが。
神奈川県連が釈明したように事務的なミスであったとしてもあまりにお粗末である。「自民党終了」を象徴するような事件だった。
人間に悪知恵と邪な欲望がある限り選挙違反は未来永劫続く。
~終わり~
◇
田中龍作ジャーナルは皆様のお力で維持運営されています。