
ミサイルの着弾音が響いてもダワスさんは柔和な笑みを絶やさなかった。=2014年、ベイト・ラフィーヤ 撮影:田中龍作=
「ガザは燃えている」。イスラエルのガンツ国防相が言い放ったように、イスラエル軍は15日から自治区の最大都市ガザ市への猛攻撃を始めた。
前回(2014年)の戦争を思い出す。ガザ北部の町ベイト・ラフィーヤは、ゴーストタウンとなっていた。
ハマスにとっても前線であるためイスラエル軍が、容赦なく爆撃を浴びせるのである。
田中が訪れた日もイスラエル軍のミサイルやロケット弾が雨あられのように降り注いでいた。
ファルク・ダワスさん(64歳・当時)は、妻と8人の子どもと共に、ベイト・ラフィーヤの自宅に留まっていた。
イスラエル軍からは幾度も「この地区から出て行け」と警告された。同軍はパレスチナ住民の携帯にアラビア語で電話をかけてくる。
田中が「どうして出て行かないのか?」とダワスさんに聞いた。
「私はここで生まれた。ここで死ぬ」。ダワスさんは表情ひとつ変えないで淡々と話した。
「ドーン」「ドーン」。インタビュー中も途切れることなくミサイルの着弾音がした。

ダワスさん(中央)は田中らを門の外まで見送ってくれた。着弾音に脅える5男アドナン君(9歳・当時)の表情が忘れられない。=2014年、ベイト・ラフィーヤ 撮影:田中龍作=
あれから11年、イスラエルのガザ攻撃は格段に厳しさを増す。北へ避難したと思ったら、今度は南に避難させられる。
それでも安全が確保できるわけではない。「生まれた土地で死ぬ」というところまでガザ住民を追い込むイスラエルは悪魔である。
イスラエル軍によれば、同市の人口100万人のうち数十万人が避難したが、まだ数十万人が留まっている。
~終わり~
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