この群衆は何なのだ。どこから湧いてきたのか。あまりもの人の多さに言葉を失う。
本命の稲村候補とデッドヒートを繰り広げる斎藤候補は、マイク納めの場所に三宮センター街を選んだ。神戸市最大の繁華街だ。
センター街のアーケードはもちろんのこと、大通りを挟んで対岸の歩道も聴衆で埋め尽くされた。
三宮駅に続く歩道橋も人が鈴なりになった。360度見回すと、車道以外は人で一杯なのだ。
アーケード街のどこら辺まで人で埋まっているのか、確認に行こうとしたが、人に阻まれて前進できない。
県知事選挙のような大型選挙は組織の力なしで戦えるものではない。斎藤陣営の運動員は手練れだ。明らかに組織の人間である。
だが聴衆のオッサン、オバサンはまったく普通の人だ。彼らは異口同音に「マスコミの報道がウソだと分かったのでねえ」と言う。
昨15日、姫路駅前広場で斎藤候補の街宣の前座を務めた立花孝志氏が「マスコミ報道がウソだと思う人?」と1千人を超す聴衆に問いかけると全員が手を挙げた。
マスコミ報道を信じられなくなった彼ら彼女らは、ご教祖様の御教えに導かれているのだろうか。
選挙運動を円滑に展開できる組織と資金があって、インフルエンサーを確保すれば、人々の熱狂を創り出せる。混乱があって人々が動揺している場合に有効だ。それを今回の選挙が教えてくれた。
~終わり~
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レバノン取材の大借金を抱えたまま、無謀にも兵庫県知事選挙に来ました。