自民党本部は首相官邸についで敷居が高い。ダメ元で入館を試みた。プレスカードを見せると意外とすんなり通れた。
記者クラブメディアが権力のお先棒を担いだ結果、日本はひどい国になってしまった。今日はどうしてもフリージャーナリストが取材して人々に伝える必要がある。その一心だった。
裏金問題で国民の怒りを買う安倍派の総会は19日午後6時から始まった。メディアは塩谷座長の冒頭あいさつが終わると退出となった。
座長の挨拶がふるっていた。「収支報告書への多額の不記載により、国民の皆様方、そして、党員を含む自民党関係者の皆様方の信頼を裏切ったことに対して心より深くおわび申し上げます」というのである。
不記載の問題にして逃げ切ろうという魂胆が見え見えだった。
総会後、塩屋座長と高木事務総長が記者会見を開いた。座長の冒頭説明はさらにふるっていた。
裏金問題は「事務的なミスリードにより(発生した)」というのである。
田中は質問した。「これは不実記載ではない。国民は集団巨額脱税だと思っている。国民には死にたくなるほどの重税を押し付けておいて、あなたたちは何億円も脱税する。国民の多くはあなたたちに議員辞職を求めている」
「脱税とは思っていないのか?議員辞職するつもりはないのか?」と。
塩谷氏は「脱税ではない」「議員辞職はしない」と悪びれることなく答えた。
塩谷氏は「(事務方から)記載をしなくていいと伝えられていた」と説明した。
田中は再び質問した。
「記載をしなくていいといってもパーティー券はカネではないか。それがキックバックされれば収入だ。子供だって分かる。大の政治家が恥ずかしくないのか?」と。
塩谷氏は「(おカネは)頂いたもの」と子供の屁理屈以下の答えを返した。
「キックバックされたカネ(裏金)は何に使われたのか?」「いったん廃止されたキックバックはいつ頃から再開されたのか?」など記者団からの質問が核心に触れると、塩谷氏は「裁判がありますので」「派閥との議員の間で精査している」とかわした。
記者団が「地元の声を聞いているか?」と問うと塩谷氏は「いや聞いていません。(地元民は)何と言ってますか?」と答えるありさまだった。
この人物はいったいどこを向いて政治をしているのだろうか? 田中は愕然とした。
安倍派は解散するのだそうだ。地元の有権者を見ず、裏金を貯めることしか能がなく、子供のような返答しかできない、お粗末な政治家が最高責任者として君臨していたのが自民党の最大派閥だった。
~終わり~
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パレスチナ取材の大借金を抱えたまま能登半島と新潟の柏崎にまで足を延ばしました。人命第一と考えたからです。
吊れる首は一つしかありません。御支援なにとぞ御願い申し上げます。