ヨルダン川西岸の山頂に黄金のドームそっくりの建造物がある。初めてみた時、頭の中でクエスチョンマークが激しく点滅した。
「あれは東エルサレムにあるドームの支社なのか?」と地元ジャーナリストに聞くと「ジャワールのプレジデントの邸宅だよ。イスラエルの犬だ」という答えが返ってきた。ジャワールはパレスチナのNTTにあたる通信会社だ。
ガザを空爆する前にイスラエル軍は一軒一軒にアラビア語で電話をかけ「避難しろ」と通告してくる。ガザ住民から直接聞いた話だ。
パレスチナ住民の電話番号、通信内容はジャワールを通してすべてイスラエル当局が把握する。田中がガザに入ってジャワールの店舗でシムカードを交換してもデータはイスラエルに行く。パスポートを見せるからだ。
ガザの通信が昨夜途絶えた。ネット、携帯電話ともにである。イスラエル軍が本格侵攻して間もなくだった。
ジャワールは通信が途絶えた原因を「イスラエル軍の激しい爆撃により」とした。
外に発信できなくなったことによりガザはブラックボックスとなった。イスラエル軍が神をも冒涜するような残忍なオペレーションを展開しても、誰にも知られずに済む。闇に葬りさることができるのだ。
イスラエルの犬が経営する通信会社に、ご主人様が通信回線を遮断するように指示した可能性も数パーセントくらいは残る。
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田中は人類史に残る大虐殺が起きる恐れのあるガザを取材するためにパレスチナに来ております。
危険手当を伴うためにドライバーに日額1千ドル(約14万円)も払わなければなりません。
飛行機代、ホテル代ですでに借金まみれとなっており、そこに巨額の取材費がのしかかります。
連絡先:tanakaryusaku@gmail.com