低木も合わせると3千本の樹木を伐採する神宮外苑の再開発について、三井不動産は今月17日~19日に住民説明会を開くという。
詐術的手法を思い出す。外苑再開発の先駆けとなった新国立競技場の建設である。東京都は競技場建設に伴い、立ち退きが取り沙汰される都営霞ヶ丘アパートの住民に対する説明会を開いた。2012年8月のことだ。
ところが―
前月の7月、日本スポーツ振興センターが建設コンペを発表したのだが、都営霞ヶ丘アパートはすでに建設予定地の中に入っていたのである。
当時、田中は東京都都市整備局に電話で確認した。都の担当者は「国立競技場を建て替えることが決まった際、(都営霞ヶ丘アパートは)協力する形で潰すことに決まった」と答えた。
決めた後で説明会を開いたのである。「住民の皆様の意見は十分に聞きましたよ」とのアリバイ作りとも言える。
話を神宮外苑に戻そう。
東京新聞によると説明会の対象は再開発の敷地から約380メートル以内に住む人や事務所のある法人。
参加するには、それぞれの住宅や事務所に投函された案内状が必要になる。
外苑の緑は都民の財産であるにもかかわらず、説明会に参加できるのは、限られたエリアの限られた人々だけである。
三井不動産は全国紙に全面広告を打って「緑を増やす」と嘯いてきた。
「みどりの割合を約25%から約30%に、樹木の本数は1904本から1998本に増やします」と説明する。
子供ダマシである。古木巨木を伐採して造園業者から仕入れてきたヒョロヒョロとした木々を植えたところで、現在のような森にはならない。
三井不動産と東京都はマスコミを使って、自然破壊を正当化してくるだろうが、決してダマされてはならない。
~終わり~
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