病状悪化にもかかわらず適切な医療措置を受けさせてもらえなかったため、2年前、名古屋入管で死亡したスリランカ人女性、ウィシュマさん(享年33)。過酷な日本の入管行政に殺されたに等しい。
『彼女の死を無駄にしてはならない』。難民申請者を絶望的な状況に追い込む出入国管理法改正(改悪)法案に反対する市民や野党議員らが、今夕(12日夕方)、国会議事堂前で抗議の声をあげた(主催:反貧困ネットワークなど)。
集会にはウィシュマさんが眠る明通寺(愛知県愛西市)の北條良至子・坊守(住職の妻)が、ウィシュマさんの骨箱を抱いて参加した。
北條坊守は「ウィシュマさんが国会前に連れて行ってと言っているようでならなかった。居ても立ってもいられず、ここに来た」と田中に話した。
3回目の難民認定申請で強制送還を可能にする出入国管理法案は9日、衆院本会議で可決した。きょう12日、参院で実質審議入りした。
現行法だと難民認定申請中は強制送還できないため収容が長期化しウィシュマさんのようなケースが発生する。収容を長期化させないように有無をいわせず強制送還するのが、改正法案のねらいだ。
帰国させられれば処刑される人も少なくない。ミャンマーのロヒンギャが格好の例だ。石橋通宏議員(立憲)は「強制送還は死刑執行ボタンを押すに等しい」と指摘した。
圧政を逃れて80万人ものロヒンギャが押し寄せてきたバングラデシュは人道的な観点からロヒンギャを難民として受け入れ住まわせている。
日本政府は真逆のことを行おうとしているのである。日本の入管や難民認定は国際基準に劣るとして国連の人権機関からも改善を再三勧告されてきた。
日本の難民認定率は極めて低い。3,772人が難民申請を行い難民認定されたのはわずか202人だった(出入国在留管理庁まとめ:2022年)。
田中はバングラデシュの難民キャンプを取材したがロヒンギャ難民たちは「強制送還されるくらいならば、ここで死んだ方がマシだ」と異口同音に語った。
~終わり~