すべてのケースとは言わないが、戦争は先に手を出した方、つまり侵略した方が負ける。米国の陰謀があったにせよ、である。
他国に攻め込めば(侵略すれば)兵站線が伸びる。その分資金も兵力も膨らむ。他国に攻め込むには誰をも納得させるような正当性が要る。正当性はない。
侵略戦争は経費やメンタルの面で自国民に多大な負担を強いる。当然、兵士の士気は下がる。それで勝てるわけがない。
第2次世界大戦における日本を見よ。ウクライナにおけるロシアの苦戦を見よ。
侵略戦争ではないが、第一次中東戦争で先に手を出したのはアラブ諸国だった。アラブ側は負けた。その結果、75万人ともいわれるパレスチナ難民(国連広報センター/あくまでも第1次中東戦争による人数)を出した。
戦争に負ければ民族を惨劇にさらす。占領国に人権を奪われ、虫けらのように殺される。
日本の場合、戦勝国の米国に自由を与えられ、半世紀は繁栄を謳歌した。だがその後は米国に富を収奪され、国民は貧困に喘ぐようになった。
戦争に巻き込まれないようにするには、どうすればよいのか―
田中は、お利口さんの著名ジャーナリストが御高説を垂れるように、頭の悪い政治家が決まり文句で唱えるように「外交」とは言わない。
他国に攻め込まれないようにするには、徹底した情報収集と情報工作、そしてハリネズミのような防衛である。
モサドの前身であるハガナは、イスラエル建国前からあった。情報が国家なのである。
四方を敵対民族に囲まれながら、4次にわたる中東戦争を4回とも勝利したのは、モサドの諜報によるところが大きい。
パレスチナに対するイスラエルの過剰防衛は批判されて然るべきだが、国防に対する姿勢には見習うべき点が多い。
核兵器は持っていても原発は持たない。米国の言うがままにされない。
4次にわたる中東戦争は、米国の援軍を受けることなくイスラエル国防軍(IDF)独自で戦ったのである。しかもすべてに勝利している。
日本の「対米自立」はロシアに走る。短絡的である。ロシアの衛星国となれば、事態は今よりもっと悪くなるだろう。
日本はそろそろ対米従属から卒業すべきだ。日本が真の独立国になるには、繰り返しになるが、徹底した諜報とハリネズミ防衛である。
~終わり~
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