田中は昨年末、急ぎパレスチナに飛んだ。狂信右派政権がイスラエルに誕生したからだ。ナクバを警戒する声が現地から聞こえてきたのである。
ナクバ(大災厄)。イスラエル建国(1948年)により、75万人ともいわれるパレスチナ住民が、住み慣れた地を追われ難民となった(国連広報センター)。
狂信右派から成るネタニヤフ政権はナクバを再現するのではないか、とパレスチナ住民は恐れる。
パレスチナ住民にとっては大災厄だが、ユダヤ人にとっては民族浄化なのが、ナクバである。
ネタニヤフ政権は一気にアラブ人を追い出し、ユダヤ人居住区としたいのだろうが、口実が必要となる。
テロリストを輩出したアラブ人住宅は即取り壊される。ユダヤ人を狙えばテロリスト認定される。
田中の滞在中、東エルサレムとウエストバンクを合わせると一日一軒のペースでアラブ人住宅が国境警察によって壊されていた。アラブ人が一日一人のペースでイスラエル軍に殺されていた。
イスラエル建国(第一次中東戦争)時のように、パレスチナ住民が一気に土地を追われるようなことはないが、ネタニヤフ政権の4年間で、単純計算すれば、1460世帯が追放されることになる。1460人が殺される計算となる。
ナクバという名の民族浄化はジワリジワリと進むのである。
~終わり~
◇
読者の皆様。
田中龍作が紛争地で直接見たこと聞いたことを記事にしています。世界でたった ひとつ しかない情報です。
紛争地取材は通訳やドライバーへの危険手当などで費用がかさみます。
皆様のお力で取材を続けさせて下さい。何とぞ御願い申し上げます。
↓