狂信右派のネタニヤフ政権がナクバという名の民族浄化を目論む東エルサレム・シルワン地区。
イスラエル軍が取り壊しに来ると見られている集合住宅の前で地元のアラブ人たちが金曜礼拝を捧げていた。いつもの金曜礼拝ではなく取り壊しへの抗議である。
道路上で100人もの人々がアッラーの神に祈りを捧げた。神に誓ってイスラエル軍にこの道路を通させないぞ、という強い意志の表れだ。
鳥肌が立つほどの緊迫感を覚えた。ツイートを入れようと思った矢先だった。
重低音のエンジン音を響かせる装甲車両を先頭にイスラエル国境警察が襲来したのだ。
国境警察の出動理由は、パレスチナ国旗だった。「アラブ人に死を」と叫ぶベングビール国家治安相が昨年末就任すると、パレスチナ国旗を公の場で掲揚させないよう警察官に命じたのである。法律でも条例でも何でもない。
パレスチナ民族への弾圧である。しかも国旗を揚げていたのは集合住宅のガレージ前だ。
場所やオペレーションによってはイスラエル軍と共に作戦行動をする国境警察は横暴極まりなかった。
アラブ人たちを催涙ガスと棍棒で追い散らした。田中も棍棒で打たれそうになった。「I’m Japanese journalist. Beat me=私は日本人ジャーナリストだ。私を打て」と言って立ちはだかると、国境警察は田中を手で突き飛ばした。
この日、国境警察に襲撃された集合住宅は30世帯100人が暮らす大規模建造物だ。
パレスチナ国旗を掲揚した・・・東エルサレムを面として取りたい超タカ派のベングビール国家治安相には格好の口実ができた。
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