2014年、ウクライナの親露派大統領を親米派が追放したクーデターがあった。世に言うマイダン革命である。
治安部隊の装甲車が火炎びんで炎上するなどした激しい市街戦を、西側メディアは華々しく報道した。日本の某全国紙は「まるで戦場だ」とハシャイだ。
“戦場”は、しかし、序の口に過ぎなかった。市街戦が一息ついた頃、国際社会を驚かせる事件が起きた。
世界の耳目が市街戦に集まるスキにロシアのプーチン大統領は電光石火の早業でクリミア半島を陥れたのである。
プーチンは大技小技を息つく間もなく繰り出し、わずか1ヵ月余りでクリミアを奪取した。
親米が親露を追い出したマイダン革命から7年が経った。今度は―
ロシアが米国の傀儡であるウクライナの本土に侵攻するのではないか・・・との懸念が尽きない。世界のメディアは書き立てる。
新聞テレビが騒ぎ始めた時はすでに遅い。2014年のクリミア侵攻を現場で見ていた田中には、プーチンに対する恐怖がある。
すぐに飛行機の切符を取り、ウクライナに飛んだ。旧ソ連が崩壊した12月25日、雪辱を期すプーチンがロシア軍をウクライナに侵攻させるとの「噂」があった。あくまでも「噂」だ。
それでも田中は心配になりロシアとの国境に取材車を走らせた。ロシア軍はウクライナとの国境4か所に兵力10万を集結させているようだ。偵察衛星が捉えていて、その写真はすでに公開されている。
田中が向かったのは、4か所のうち首都キエフに最も近い北部国境だ。車でわずか4時間の距離である。プーチンはその日のうちにウクライナの首都を落とせるのだ。
田中がヨーロッパの東の果てまで足を運んだのには、もう一つ大きな理由がある。
2014年、ロシアがクリミアに侵攻した時、欧米諸国は手も足も出なかった。
今度もそうなるだろう。米国のバイデン大統領は経済制裁をちらつかせるだけ。英国は早くも「軍事介入はしない」と明らかにしている。
ロシアのウクライナ侵攻と同時に中国が台湾に侵攻する、との見方がある。アフガンからの撤退が示すように弱り切った米国は、台湾に出動できまい。
代わりに「日本が行って下さい」なんてことになりはしないだろうか。そうなれば、ジャパンハンドラーやアベさんの思うツボである。
~終わり~