記者クラブは権力と一体化していることを隠そうともしなくなった。フリージャーナリストと著述家を排除するのに警察の出動を要請したのである。
ハンストを続ける菅野完が、国会記者会館の前庭で腰を降ろし携帯電話をかけたり、紫煙をくゆらしたりしていた。きょう午後2時45分頃のことだ。
国会記者会館は国有地の上に立つ国有の建物だ。つまり私たちの税金で維持されているのである。記者クラブは居候に過ぎない。
菅野はハンスト定位置の歩道上から気分転換のため、わずか数メートル離れた国会記者会館の前庭に ちょいと お邪魔するのである。田中も途中から加わった。
間もなく『国会記者会館』の腕章をつけたオジサンがツカツカと歩み寄って来て「出て行って下さい。ここは関係者以外立ち入り禁止です」と告げた。
オジサンは国会記者会館の職員だ。マスコミOBだろう。
菅野が顔で拒否すると、オジサンは「警察を呼びますよ」と居丈高に言った。
警察はなかなか来ない。ブラフと分かっていたので田中と菅野は出ていかなかった。
すると今度はホントに呼んだ。制服警察官が会館の玄関まで来て、オジサンから事情を聴いた。
「国会記者会の会員でない方は立ち入り禁止になっている」「管理権は国会記者会にある」。オジサンは警察の前で正当性を主張した。
部隊長格のベテラン警察官は「敷地内のことなので どっちがどっち とも言えないんですよねえ」「うまくやって下さい」とニガリ切った表情だ。
2012年、「国会記者会館の屋上を撮影場所として使えるように求める」訴訟をフリ―ジャーナリストが起こした。
裁判では埒があかないためフリ―ジャーナリストたち約10人が、国会記者会館に突入し、屋上まで一気に駆け上った。
その時も記者会館の職員(オジサンの前任者)が来て「出て行ってくれ」と迫った。
田中は「警察を呼べ、建造物侵入だ」と言い返した。職員は結局、警察を呼ばなかった。
暴漢ならともかく、フリージャーナリストと著述家を排除するのに、記者クラブは警察を呼んだのである。
少なくとも新聞・テレビが国民の方を向いて取材報道活動をしているのではないことが明らかになった。
~終わり~