中東調査会からパーティーへの招待があったので今夕、田中はノコノコと出かけた。ホテル・オークラに着くと私服刑事がワンサといた。
オークラである。政治家の会合でもあるのだろうと、さして気にも留めなかった。
ところが会場のオーチャードルームに入るとマスコミのカメラが放列を敷いていた。SPたちの人口密度もロビーとは比較にならないほど高い。
中東情勢を一緒に勉強した商社マン、外交官、ジャーナリストたちと、パーティーの後で一杯飲もうという下心だけでやって来たので、わずかに面食らった。
ものの数分と経たぬうちにもっと驚くことが起きた。司会者が「安倍内閣総理大臣が到着されました」と高らかに告げたのだ。
かつての友人たちと記念撮影するつもりでポケットにしのばせておいたコンパクト・デジカメを取り出して、安倍晋三閣下のご尊顔を撮影した。
加計疑惑や自衛隊の日報問題で窮地に立つ閣下の顔はいささかむくんでおり、色つやもよくなかった。
パーティーは斎木昭隆・前外務省事務次官が中東調査会理事長に就任したことを祝うものだった。
挨拶に立った僕チャマ総理は「6回にわたり中東を訪問し、訪れた国と地域は11」と恥ずかし気もなく言った。
その都度、外務省が苦労したことを、田中は中東調査会で耳にはさんでいた。
極め付けは2015年の中東歴訪だ。僕チャマは「イスラム国と戦う諸国」に2億ドルを資金援助した。これが前年からイスラム国に拘束されていたジャーナリスト殺害の口実にされた。
サウド家の家系図だって諳んじているのが当たり前。アラブ・ペルシャの動向をリアルタイムに近い状態で微に入り細にわたって把握しているのが中東調査会だ。
世界を揺さぶった日本人ジャーナリスト殺害事件で、安倍官邸からは中東調査会に一言の相談もなかったようだ。いや、あえて相談しなかったのか。
「どの面を提げてパーティーに来たんだ?」中東通の出席者たちは、戦後最悪の首相に言いたくてたまらなかったはずだ。
〜終わり~
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