米軍普天間基地の移設をめぐる鳩山政権の迷走は目を覆うばかりだ。地元対策も場当たり的でお粗末だが、鳩山首相の口から耳を疑うような発言が飛び出した。「学べば学ぶほど抑止力の重要性を知った…」。安全保障のイロハも知らない人物に一国のリーダーが務まるのだろうか。大方の国民は唖然とした。
鳩山首相の失態で勢いづいているのが自民党の国防族だ。「普天間基地」の移設が決まった1996年の日米合意から辺野古のV字型滑走路に落ち着くまでの苦難の道のりを熟知している。テレビの討論番組によく引っ張り出されるが、国防の現場を知らない議員と比べればはるかに説得力がある。
普天間移設に象徴される安全保障は、参院選では鳩山民主党に対する最大の攻めどころとなる。別な言い方をすれば安全保障は民主党の最大の弱点だ。
世論調査で自民党の支持率が民主党を上回った社もある。国防族の論客は夏の選挙戦で、引っ張りダコとなるだろう。
17日、都内のホテルで国防族を代表する論客の石破茂・元防衛相が政治資金パーティーを開き怪気炎をあげた。
「合衆国は日本を防衛する義務を持つが、日本は合衆国を防衛できない。その代償として日本は基地を提供しなければならない。(民主党、社民党は)国外、県外と言ってるが、合衆国の海兵隊員が沖縄にいるのは、韓国、台湾、フィリピンにいるアメリカ人を救出するためだ。どこにいてもいいというものではないっ!」。石破氏は官邸の鳩山首相に届けとばかりに声を張り上げた。
この日は沖縄県議会議員らが徳之島を訪れた。沖縄の負担軽減を求めるために地元3町長に会おうとしたが、会えたのは徳之島町の高岡秀規町長と町議会議員だけだった。
沖縄県議会議員らは自衛隊基地のある九州の自治体も訪れ、海兵隊の訓練の受け入れを求める予定だ。
今回の迷走劇を日本全体で安全保障や基地問題を考える格好の機会としてほしいものである。
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