「山尾叩き」 官邸べったりメディア本領発揮 

カメラの放列が待ち構えるなか山尾政調会長は記者会見に臨んだ。=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

カメラの放列が待ち構えるなか山尾政調会長は記者会見に臨んだ。=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

 強い者には阿(おもね)り、弱い者は徹底的に叩く。マスコミの本領が存分に発揮された。

 民進党の山尾しおり政調会長が『週刊新潮』で報じられた金銭問題について、今夕、記者会見を開いた。衆院会館の党会議室はカメラマンも含めて100人近い報道関係者でいっぱいになった。ワイドショークルーの姿もあった。

 弁護士も入れて調査した結果を山尾氏は報告した。要約すると以下のようになる ―
 
 地球5周分に相当するガソリン代は、実際に給油していない。元秘書がガソリンスタンドの「不要レシート入れ」に捨ててあったレシートを事務所に持って来て代金を請求した。

 プリペイドカードに給油した記録が残っていないのだ。元秘書による不正請求である。元秘書は2012年7月に山尾事務所を辞めている。

 週刊新潮が取り上げた他の問題についても山尾氏は説明した。ほとんどは手続き上のミスだ。

 記者クラブの質問はあまりに酷かった。以下紹介する ―

日テレ:山尾政調会長は甘利さんの追及チームだった。甘利さんの件と今回の件は違うと思うか?

読売新聞:この問題を受けて進退について、どう考えるか?

産経新聞:甘利さんは監督責任を認めて辞めている。(山尾政調会長は)与党を追及する資格があると思うか?

 権力追従御三家の追及は一言でいえば「辞めろコール」だ。参院選前に野党を貶めようという魂胆が見え見えだった。

ニコ生:(山尾政調会長は)議員の前は検事。検事の目で見てこの件シロかクロか?

:待機児童問題の追及はいいけど自分の追及はどうなんだ? 秘書の問題、整合性取れないのでは?

 ニコ生はさすが官邸お出入りのネットメディアらしい質問をした。

カメラは山尾氏が困惑する表情をねらった。=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

カメラは山尾氏が困惑する表情をねらった。=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

 記者会見の急先鋒は、去年古賀発言で自民党に叱られたテレ朝だった。汚名返上のつもりだろうか。しつこくて嫌らしかった。

テレ朝:期待された山尾さんが疑惑の訂正、謝罪会見となった。党への全体的な影響をどう考えるか?

:ガソリンの問題では申し訳ないという言葉を聞いていない。この件に関しては被害者という気持ちか?ここまでの説明で有権者が納得すると思うか?

:ウソがお嫌いという山尾さんだが、結果的にウソをついたことになった。責任の取り方、反省ということで終わりにするのか?別の取り方があるのか?
      ― 質疑応答ここまで

 記者会見は人民裁判と化した。甘利明・経済再生担当相が道路建設をめぐる口利き疑惑で辞任した時の記者会見とは180度の違いだ。

 日経記者は甘利大臣の辞任を惜しむような質問をし、時事通信は弁明の機会をわざわざ与えるような質問をした。インディペンデントメディア1社が追及しただけだった。あとはほとんどヨイショ質問だった。

 新聞テレビか、ネットか。メディアの新旧いかんに関わらず、官邸との距離が質問の内容を決める。これが日本のマスコミだ。国民の視点はどこにもなかった。

山尾政調会長のガソリン代が地球5周分なら、安倍首相のは地球13周分だ。記者クラブは、こちらは追及しないのだろうか?=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

山尾政調会長のガソリン代が地球5周分なら、安倍首相のは地球13周分だ。記者クラブは、こちらは追及しないのだろうか?=6日夕、民進党会議室 撮影:筆者=

  ~終わり~

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