一強多弱。結束して挑まなければ勝てないのに、バラバラで戦ったため、共倒れに終わったのが前回(2012年)の総選挙だった。
民主・維新・みんな・生活・社民の票を合わせれば自民党に勝てた小選挙区が114もあったのだ。もし結束していたら・・・。前回の轍を踏まじと、野党(共産党をのぞく)は197の小選挙区で候補を一本化した。
東京8区は石原伸晃環境相(自民党)に野党統一候補の円より子氏(民主党公認、維新・生活・社民・生活者ネット推薦)が挑む。
野党に強力な助っ人が加わった。山本太郎参院議員だ。山本議員は前回の衆院選で、この選挙区に立ち、円候補と脱原発票を分けた。
2人合わせて12万5,909票。当選した石原氏の13万2,521票とわずか6,612票の差だ。興味深いのは石原氏が選挙の度に1万票~1万5千票ずつ減らしていることだ。
石原氏が今回も同様に減らして投票率が高ければ、石原ファミリーの金城湯池に穴が空くことになる。
昨日の敵は今日の友。政界の人間関係を絵に描いたような選挙協力だ。
山本議員のもとには支持者から「(石原)伸晃を小マシ(少しマトモ)にしただけの円(より子)をどうして応援するんだ?」と苦情が寄せられたという。
山本氏は「今回は自民党に勝てる可能性のある候補に賭ける。夢や理想は言っていられない」と話す。
政治とは次善の選択であることをあらためて知らせてくれるようだった。
公示日のきょう、山本議員は円より子候補の出陣式に駆け付けた。円候補と山本議員は顔を合わせるなり長い握手をした。
前回選挙のライバルが応援に来てくれた感想を尋ねると、円候補は「原発ゼロを願う気持ちは同じ」と けれん味なく 答えた。
マイクを握った山本議員は次のように訴えた―
「前回の選挙で円さんが取った得票と、山本が取った得票にもう少し勢いに乗れば、楽々と超せるんですよ。希望はあるんです。逆転可能なんです」。
「金目おぼっちゃん(※)。映画界に石原軍団は必要ですけど、政界に石原軍団はもう必要ないんですよ。はっきりとNOを突きつけるために皆さん力を貸して下さい」。
円候補がこれに応えた―
「今回の選挙は、暴走を食い止めるチャンスだと思っております。一人ひとりの国民にとって、本当に重要な選挙になります。この選挙がこれからの日本の行方を左右する選挙だからです」。
「今度は一人ではありません。2年前はライバルだった山本さんが、私の強力な応援団になって下さいましたし、各党の方々が支援に回って下さる。こんな心強いことはありません」。
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※金目発言
石原伸晃環境相は原発事故の除染作業で出た汚染土の中間貯蔵施設建設をめぐって「最後は金目でしょ」と発言し、地元住民を怒らせた。