タイトルを見てギョッと思った方も少なくないだろう。日本のことではない。ウクライナ東部の混乱だ。
ポロシェンコ大統領が、ドネツク州とルガンスク州の親露派支配地域での公共サービスを打ち切る大統領令を公表したことは、前稿(16日付け・田中龍作ジャーナル)でも述べた。
大統領はこの一環として親露派支配地域では、年金を支給しないことにしたのである。それも12月1日からだ。
「このままでは年金がもらえなくなる。生きてゆけない」。危機感を極度に募らせた高齢者が17日、朝早くからマリウポリの社会保険事務所に押し寄せた。
彼らは皆、親露勢力の支配地域に住む。自家用車を相乗りするなどして、マリウポリまで来た。
ここで登録すれば年金がもらえるようになるからだ。だが役所仕事だ。2~3人ずつしか事務所の中に入れてもらえない。
「いつまで待たせるのか?」老女が叫ぶように訴えた。厳寒の地の北風は身を切るように冷たい。
役人は老女の訴えなどどこ吹く風で、20~30分に1度「今度は150番と151番」と呼び込む。
親露勢力支配地域に住む高齢者といえども、マリウポリの社会福祉事務所に登録すれば、年金はもらえる。だが、それはあくまでもマリウポリにウクライナの行政権限が及んでいる間だけだ。親露勢力はマリウポリの目前に迫っている。
年金を株の運用に回す東アジアのどこかの国とどちらがリスキーだろうか。