前大統領追放後、初めてとなる最高会議(定数450議席)の選挙が26日、ウクライナで実施された。
親露勢力の支配が続くドネツクやルハンスクなど東部地域では実施できなかった。
ロシア系住民の多い東部で選挙がボイコットされていることが、ポロシェンコ大統領には有利に働いているようだ。親露派の候補者もほとんどいない。
筆者はキエフ市内の投票所、数か所を取材した。中央選挙管理委員会にプレス登録すれば、日本のように記者クラブでなくとも取材できる。
投票箱は透明のプラスチック製だ。ムサシの読み取り機も入っていない。
50代の女性(専門学校副校長)は、親露勢力に武力制圧され選挙の実施が不可能になっているドネツクからわざわざ投票に来た。キエフに選挙人登録をしているからだ。
鉄路キエフに来た彼女は明日、あさってのうちに勤め先のドネツクに戻る。
彼女はポロシェンコ大統領率いる「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」に投票した。「ドネツクは親露勢力に包囲されているが、ポロシェンコ氏だったら解放してくれそう。領土を守ってくれる」。彼女は大統領に期待を寄せた。
ポロシェンコ大統領の党に投票しなかった有権者に聞いた。60代の女性(キエフ市内)はティモシェンコ元首相の「祖国」に投票した。ポロシェンコ大統領の党に投票しなかった理由を次のように話した―
「彼が大統領になっても何も変わらなかった。東部は破壊され戦争で多くの人々が死んだ」。
有権者の声からは、ロシアとの事実上の戦争が世論を二分していることが窺えた。
26日深夜(日本時間27日朝)には大勢が判明する見通しだ。
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読者の皆様。ウクライナ情勢をめぐっては、日本をはじめとする西側メディアからは実相が伝えられているように思えません。米露が角逐し、世界の動きに大きな影響を与えるウクライナ情勢を、西側からの視点で捉えるだけでよいのでしょうか。田中が東欧のはずれまで足を伸ばした理由です。何卒ご了承下さい。