
現場検証のためウクライナまで足を運んだカーン主任検事(スキンヘッド)。=2022年4月、ブチャ 撮影:田中龍作=
世界を混乱に陥れている独裁者が小躍りして喜ぶだろう。
ネタニヤフとプーチンの逮捕状を請求したICC(国際刑事裁判所)のカリム・アフマド・カーン主任検察官が、部下の女性への性的加害疑惑で懲戒免職となった。疑惑が真実であれば残念である。

虐殺遺体。手足の一部がのぞく。=2022年4月、ブチャ 撮影:田中龍作=
2022年3月、世界を震撼させたブチャの虐殺を思い出す。キーウ近郊のブチャでマスグレイブが見つかった。
地元住民を撃ち殺したのはロシア軍だった。遺体を埋葬した神父と住民の話はすべて符牒が合う。
同年4月、カーン主任検察官率いるICCの調査団がブチャに入った。
田中は実況見分を終えたカーン検事(英国人)に「ロシア側はマスグレイブをフェイクだと言い募っているが」と質問した。
カーン検事は「遺体を検分し証言と照らし合わせれば、おのずと明らかになる。法廷が戦争犯罪を裁くだろう」。
BBCの記者が「これはジェノサイドか?」と聞いた。検事の答えは田中に対してのコメントと同様だった。

「兄はロシア兵に撃ち殺されたんだ」。地元住民の訴えに耳を傾けるカーン主任検事。=2022年4月、ブチャ 撮影:田中龍作=
ガザのパレスチナ住民虐殺をめぐってもカーン主任検事は動いた。2024年5月、ネタニヤフ首相とガラント国防相の「戦争犯罪と人道に対する罪」で逮捕状を請求した。同年11月、ICCは両名に対して逮捕状を発行している。
モサドありKGBありの世界だ。ハニートラップの線も捨て切れない。田中はカーン氏を擁護するものではない。
ブチャの虐殺はウクライナ軍の自作自演だった、などとする陰謀論が幅を効かす世の中だ。
真相に迫るためにはあらゆる可能性を排除しないことが肝要である。
~終わり~
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