警察官僚の手先となり前次官追い詰める読売新聞

弁護士(右)を伴って記者会見に臨む前川氏。際どい質問に対して弁護士は「ノーコメント」。細心の注意を払っていた。=25日、日本弁護士会館 撮影:筆者=

弁護士(右)を伴って記者会見に臨む前川氏。際どい質問に対して弁護士は「ノーコメント」。細心の注意を払っていた。=25日、日本弁護士会館 撮影:筆者=

 警察庁出身の上司に、自分が風俗店に出入りしている写真を見せつけられて「こういう所に出入りしているらしいじゃないか」。

 現職時代の昨秋、官邸に呼びつけられて、こう咎められたのが文科省の前川喜平・前次官だ。

 前川氏が「総理のご意向」を明るみに出すと、読売新聞は、氏が新宿の風俗店に出入りしていた、と報じた。

 読売が “スクープ” した経緯は『週刊新潮』(25日発売)に詳しく書いてあるので、筆者はこれ以上述べない。

 示し合わせたかのように菅官房長官は、前川氏の個人攻撃を始めた。官邸と読売新聞が一体となって前川氏への人格破壊攻撃を仕掛けたのである。

 「誰と誰が付き合っている。不倫関係にある」「アイツはよくソープに行く」「あの男は資産をこれ位持っている」…警察は日本最大の個人情報データバンクだ。

 尾行、盗聴、防犯カメラがそれを可能にする。特に風俗業界は警察の管轄下にあるため、こと細かな情報まで入ってくる。

 元警察庁長官が、現在、官邸事務方の頂点に君臨する。安倍政権に不都合な人物の人格破壊なんぞ朝飯前だ。

22日(左)と26日(右)の読売新聞朝刊。前川氏を意図的に貶めるコメントが目立つ。

22日(左)と26日(右)の読売新聞朝刊。前川氏を意図的に貶めるコメントが目立つ。

 文科行政の最高責任者だった前川氏は25日、弁護士に付き添われて記者会見した。場所は弁護士会館。氏が置かれた状況を物語っていた。

 読売新聞記者の質問に背筋が寒くなった。「現職中に知り得たもの(情報)を流布する(よく聞き取れず)のは、守秘義務違反に当たると思わないか?」

 身を賭して権力の不正を暴いた人物を、権力の手先となって追い詰める。新聞という公器を持つ大企業が、である。

 別の社の記者が「権力の脅しか?」 と問うと、前川氏は「そんな国家だとは思いたくない」と答えた。

 何者かが前川氏を「国家公務員法第100条」違反で告発し、読売新聞があることないことを書き立てる。世論が湧いたところで検察が動く・・・悪夢が現実とならないことを祈るのみだ。

   ~終わり~


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