日本のある大新聞社が「ロイター電」としてガザで唯一つの発電所がイスラエルの爆撃を受けたと報じていた。
現場に行かず外電を引用するのが日本のマスコミの特技だ。とはいえガザの人々の生活に直結するので、筆者はガザ中部のヌーサイラート市にある火力発電所に取材に出かけた。
「爆撃を受けた」というのは事実だった。マフムード・アル・シャリーフ発電所長によれば、5日前(23日)、メルカバ戦車の砲撃を受けた。
発電機は全部で4基あるが、砲弾が命中したのは、主力の1基だ。現在2基が稼働中でもう1基は調整中。
発電所の発電機が全部稼働しても発電量は140MW(メガワット)しかない。
ガザ全体では400MWを必要としている。エジプトとイスラエルから電力を買っているが、それでも115MW足りない。
ガザは慢性的な電力不足だ。しょっちゅう停電する。投宿先のホテルは自家発電の時間の方が長いような気がする。その自家発電さえ日常茶飯事のように停まる。
停電時間が長いとトイレの水も出なくなる。水を汲み上げるポンプが動かなくなるからだ。腐臭が鼻をついてたまったものではない。
日本では想像もつかないだろうが、停電は庶民の生活を混乱に陥れる。
戦闘は日を追うごとに激しさを増しており、発電機を動かす重油の輸入は途絶えがちだ。
「このままだと明日(29日)朝にも電気が止まる」。マフムード所長は悲壮な面持ちで話す。
「我々は市民に電力を供給しているだけ。軍事に電力を供給しているわけはないのに…」。所長は力なく語った。
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